2011/3/7

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が利上げ示唆、インフレ警戒で来月にも

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)が来月にも利上げに踏み切る可能性が濃厚となってきた。ECBは3日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年1.0%に据え置くことを決めたが、トリシェ総裁は理事会後 […]

欧州中央銀行(ECB)が来月にも利上げに踏み切る可能性が濃厚となってきた。ECBは3日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年1.0%に据え置くことを決めたが、トリシェ総裁は理事会後の記者会見でインフレへの強い警戒感を示し、4月の利上げを示唆した。これが実現した場合、2008年7月以来の利上げとなる。

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ユーロ圏の消費者物価は原油、食料価格の高騰を背景に急上昇しており、2月はECBが上限目標値とする2%を大きく上回る2.4%まで上昇。ECBは同日公表した内部経済予測で、2011年の予想インフレ率を2.3%とし、前回(12月)から0.5ポイント上方修正した。

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ECBが恐れているのは、原油高の「二次波及」で賃上げや末端価格の上昇が引き起こされ、インフレ率がさらに跳ね上がる局面の到来だ。トリシェ総裁は理事会後の記者会見で、インフレへの「強い警戒が必要だ」とコメント。さらに4月の利上げ決定が「確実ではないが、可能性がある」と踏み込んだ発言も飛び出した。

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インフレへの「強い警戒」という言葉は、過去の利上げで例外なく1カ月前に用いられていることから、市場は事実上の4月利上げ予告と受け止めており、発言直後にユーロは対ドル、円で急上昇した。

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市場ではインフレ進行を受けて利上げを見込んでいたが、ギリシャ、アイルランドなどの信用不安がくすぶっていることからECBが景気動向に配慮し、利上げは8月以降になるとの見方が多かった。このため利上げ予告は驚きをもって迎えられている。

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ただ、トリシェ総裁は大幅な利上げは「適切でない」と述べ、実施時の利上げ幅が0.25%にとどまることを示唆。また、「利上げ局面の始まりではない」として、単発の利上げとする意向を示し、景気への配慮をみせた。さらにECBは同日、金融機関の資金繰りを支援する措置の延長も発表。3月末までとしていた3カ月物資金の無制限供給を6月末まで、4月12日までとしていた1カ月物資金供給を7月12日まで継続する。

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