2011/3/7

産業・貿易

「プロジェクト債」でインフラ整備資金調達、欧州委が具体案策定へ

この記事の要約

欧州委員会は2月28日、EU域内におけるインフラ整備のための資金調達手段として、「欧州2020 プロジェクト債」と名付けた債権を発行する構想を打ち出した。各国政府が財政再建を最優先するなか、欧州投資銀行(EIB)と協力し […]

欧州委員会は2月28日、EU域内におけるインフラ整備のための資金調達手段として、「欧州2020 プロジェクト債」と名付けた債権を発行する構想を打ち出した。各国政府が財政再建を最優先するなか、欧州投資銀行(EIB)と協力して民間投資家から資金を集める仕組みを整え、EUの新たな成長戦略「欧州 2020」で重点領域になっているエネルギー、運輸、情報・通信分野の大規模インフラ事業を推進するのが狙い。欧州委は5月2日まで意見募集を行い、各方面から寄せられた意見を基に具体策をまとめる。

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プロジェクト債の構想は、欧州委のバローゾ委員長が昨年9月に行った施政方針演説の中で提唱していた。計画によると、プロジェクト債はEUが起債するのではなく、各プロジェクトで中心となる民間企業が発行。EUとEIBは債権に保証を付けたり、返済の優先順位が低い劣後債を引き受けるなどで民間投資家のリスク軽減を図り、資金調達しやすい環境を整える。

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欧州委の試算によると、EUが計画している次世代送電網(スマートグリッド)をはじめとするエネルギー輸送網、高速通信網、高速鉄道網などのインフラ整備に総額1兆5,000億-2兆ユーロの資金が必要とされる。同委のレーン委員(経済通貨問題担当)は声明で「加盟国は財政再建に取り組まなければならないが、同時に持続的な成長を促す必要がある。EUの財源を有効活用して民間からの投資を促すことがプロジェクト債の狙いだ」と説明。また、メイスタットEIB総裁は「プロジェクト債は年金基金や保険会社など、新たな投資家から長期資金を集める有効な手段になるだろう」と付け加えた。

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