2011/3/14

産業・貿易

銀行ストレステストは前回より厳格化、EBAが審査条件緩和の報道を否定

この記事の要約

EU各国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は9日、新たに実施する域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)は昨年の初回テストより厳しい内容になるとの声明を発表した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT) […]

EU各国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は9日、新たに実施する域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)は昨年の初回テストより厳しい内容になるとの声明を発表した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は前日、EBAが前回テストより緩やかなテストシナリオを想定していると報じていたが、同機構のエンリア会長は「今年は昨年より審査が厳格化される」と明言し、報道内容を否定した。

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EBAは今月3日、翌日から域内の銀行に対するストレステストを開始し、6月に結果を公表すると発表。各国の経済成長が予想を大幅に下回った場合を想定し、さらに不動産価格の急落、金利の急上昇、ソブリン債リスクの増大など、それぞれの国に特有のリスク要因を考慮して、各行の経営基盤の健全性を審査すると説明していた。

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FT紙が報じたEBAのテストシナリオによると、前回テストでは欧州株相場が20%下落したケースを想定していたのに対し、今年は15%の下落を前提としているほか、原材料価格の上昇がまったく考慮されていない。さらにソブリン債リスクに関連して、EBAはポルトガルとスペインの国債相場がそれぞれ20%、15%下落する場合を想定しているが、共にアナリスト予想より控え目な水準となっている。

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EBAのエンリア会長は声明で「テストシナリオの一部を断片的に取り上げるのではなく、全体を把握する必要がある」と指摘し、新たなテストで審査基準が緩和されるとの観測を否定した。同会長はそのうえで、昨年のテストでは向こう2年間の成長率が予想を3ポイント下回った場合を想定していたのに対し、今回は4ポイント下回った場合をシナリオとして設定していることを明らかにし、昨年に比べると全体として経済状況が改善していることから、想定したシナリオが現実のものになる可能性は極めて低いとの見方を示した。

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