2011/3/14

産業・貿易

男女間の賃金格差はEU平均で17.5%、欧州委がリポート公表

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、EU統計局ユーロスタットがまとめた各国の男女間賃金格差に関するリポートを公表した。EUでは共同体および国レベルで同一労働における男女同一賃金の原則を定めた法律が整備されているが、リポートによると、2 […]

欧州委員会はこのほど、EU統計局ユーロスタットがまとめた各国の男女間賃金格差に関するリポートを公表した。EUでは共同体および国レベルで同一労働における男女同一賃金の原則を定めた法律が整備されているが、リポートによると、2008年時点で女性の賃金水準は男性に比べてEU全体で平均17.5%低く、エストニアではこの割合が30%に上ることが明らかになった。欧州委は多くの国で改善がみられるものの、賃金水準は定年退職後の年金受給額に反映されるため、女性労働者は生涯にわたって不利益を受けることになると指摘。格差是正に向けてさらに取り組みを強化する方針を示している。

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EUは市民の間で男女の賃金格差に対する認識や問題意識を高め、社会全体で格差是正に取り組むため、今年から3月5日を「同一賃金の日(Equal Pay Day)」と定めてさまざまなイベントを用意している。今回のリポートも同一賃金の日、および3月8日の「国際婦人デー」に合わせて公表された。

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これによると、エストニアに次いで男女間の賃金格差が大きいのはチェコ、オーストリア、ドイツなどで、女性の賃金水準は男性をそれぞれ26%、25%、23%下回っている。一方、賃金格差が最も小さい国はイタリア(5%)で、以下スロベニア(8.5%)、デンマーク(9%)と続いている。主要国ではスペインが17%、フランスは18%、英国は21%となっている。また、年金受給額などを加味した欧州委の試算によると、EU域内に住む65歳以上の市民のうち、貧困に直面する可能性のある人は男性の16%に対し、女性は22%と高くなっている。

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一方、欧州委が昨年まとめた男女平等をテーマとするEU市民の意識調査「ユーロバロメーター」のリポートによると、回答者の62%が「社会のさまざまな分野で男女間の格差は依然として存在する」と答えており、「男女間の賃金格差を早急に是正する必要がある」と答えた人は82%に上った。

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欧州委のレディング副委員長(司法・基本的権利・市民権担当)は「同一賃金の日は男女間の賃金格差をなくすため、いかに多くの問題を解決しなければならないかを再認識する良いきっかけになる。加盟国や関係する各方面と連携して格差是正に向けた取り組みを強化し、同一賃金の日が必要でなくなるようにしたい」と語った。

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