2011/3/21

産業・貿易

カナダとのホルモン牛肉紛争が終結、EU製品への報復関税解除

この記事の要約

欧州委員会は17日、成長促進ホルモンを使用したカナダ産牛肉の禁輸をめぐる問題でカナダ政府と覚書を交わし、EUがカナダ産牛肉の非関税輸入枠を拡大するとともに、カナダが欧州製品に対する制裁を解除することで合意したと発表した。 […]

欧州委員会は17日、成長促進ホルモンを使用したカナダ産牛肉の禁輸をめぐる問題でカナダ政府と覚書を交わし、EUがカナダ産牛肉の非関税輸入枠を拡大するとともに、カナダが欧州製品に対する制裁を解除することで合意したと発表した。これにより1996年から続いていた成長促進ホルモンを使用したカナダ産牛肉をめぐる通商紛争が終結することになった。

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EUは発がん性などを理由に成長促進ホルモンを使用したカナダ産と米国産の牛肉に対して禁輸措置を発動した。しかし世界貿易機関(WTO)は1998年、EUの措置は科学的なリスク評価に基づくものではないという米・カナダの主張を認め、EUに対する両国の制裁を認める裁定を下した。このため両国は欧州産チーズなど一部の食品に100%の報復関税を課していた。EUは報復措置についてWTOに逆提訴したものの、米国とは2009年に暫定合意により紛争を終結させていた。

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今回の覚書によりEUはカナダ産牛肉に対して非課税の輸入枠を来年8月までに1,500トン分拡大し、2013年にはこの輸入枠を3,200トンに引き上げる。ただしカナダの報復関税の撤廃とEUの非課税輸入枠の拡大は、それぞれ国内および域内での承認手続きが必要となる。

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