2011/4/11

競争法

航空会社への国家補助ルール、欧州委が抜本見直し

この記事の要約

欧州委員会は7日、EU内の地方空港に拠点を置く航空会社に対する国家補助の適用条件を定めた2005年の「航空指針」と、航空自由化に伴う航空会社の再編支援を目的とする補助金の交付基準を定めた1994年の「EU航空指針」の見直 […]

欧州委員会は7日、EU内の地方空港に拠点を置く航空会社に対する国家補助の適用条件を定めた2005年の「航空指針」と、航空自由化に伴う航空会社の再編支援を目的とする補助金の交付基準を定めた1994年の「EU航空指針」の見直しに着手した。航空輸送や空港運営のビジネス環境が大きく変化するなか、両指針が実情に合っているかどうかを検証し、必要に応じて既存ルールを変更する。欧州委は6月6日まで広く意見募集を行い、寄せられた反応を踏まえて2012年までに具体的な提案をまとめる。

\

EUでは94年に航空輸送サービスが自由化されたが、欧州委は域内の航空会社が公平な条件で競争できる環境を整備するため、航空会社の再編費用などを援助する際の条件を定めた指針を策定した。さらに格安航空会社の台頭に伴い、域内の地方空港の間で新興航空会社の誘致や新ルート開設のためにさまざまな奨励策を講じる動きが活発化するなか、05年には域内のすべての空港と航空会社が明確なルールに基づいて公平な条件で競争するための枠組みとして、地方空港に拠点を置く航空会社への補助金交付に関する新たな指針を打ち出した。

\

しかし、ここにきて格安航空会社が急速にシェアを伸ばす一方、旧国営の大手航空会社では合併などの再編プロセスがほぼ完了するなど、欧州航空市場はこの数年で大きな変化を遂げている。欧州委は2つの指針に基づき、05年からこれまでに航空会社や空港の管理・運営にかかる60件以上の事案について補助金交付の是非を判断してきたが、ビジネス環境の変化に伴い、このところ欧州委の決定に対する苦情の申し立てが急速に増えている。指針見直しの背景にはこうした事情があり、欧州委は特に空港のインフラ整備と新興航空会社の立ち上げに対する補助金のあり方について各方面に意見を求めている。

\