2011/4/11

環境・通信・その他

ロマ人の社会的統合目指す枠組み発表、各国に戦略策定を義務付ける

この記事の要約

欧州委員会は5日、EU域内の少数民族ロマ人に対する差別をなくし、生活改善と社会への統合促進を目指す「各国ロマ統合戦略に向けた欧州の枠組み」を発表した。各国の政策への指針を示すとともに、EUレベルでの基金の利用などを明示し […]

欧州委員会は5日、EU域内の少数民族ロマ人に対する差別をなくし、生活改善と社会への統合促進を目指す「各国ロマ統合戦略に向けた欧州の枠組み」を発表した。各国の政策への指針を示すとともに、EUレベルでの基金の利用などを明示している。各国は枠組みに示された目標の達成に向けて年内に戦略を欧州委に提示することを義務付けられる。

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域内には1,000万~1,200万人のロマ人がいるが、差別を受け経済的・社会的に劣悪な状況にある。たとえば初等教育の修了者はEU平均の97.5%に対して42%に過ぎず、中等教育ではわずか10%程度にとどまる。失業率も高いうえ電力や水道水といった基本的なサービスを受けずに生活をしている人々も多く、平均寿命はEU平均(男性76歳、女性82歳)より10歳も低い。

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このため今回の枠組みではロマ人の社会的統合に向けて教育、雇用、保健、住宅で4つの目標を掲げた。教育ではすべてのロマ人の児童が少なくとも初等教育を受けること、ロマ人の就業率引き上げ、乳幼児の死亡率低下など保健状況の改善、住宅や電気・水道水など公共サービス提供の改善を挙げている。

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各国による戦略策定のほか、欧州委はロマ人の社会的統合を支援するEUの資金利用に向けた解決策を提案する。また欧州委は施策の成果を監視するメカニズムも設ける方針で、ロマ人の社会的・経済的状況に関するデータを収集するうえではEU基本的人権庁が重要な役割を果たすことになるという。

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