2011/5/2

総合 –EUウオッチャー

欧州委が12年EU予算案発表、4.9%増に主要国反発

この記事の要約

欧州委員会は4月20日、2012年EU予算の原案を発表した。予算総額は前年比4.9%増の1,327億ユーロ(支払いベース)で、伸び率は前年の2.9%を大きく上回る。予算案成立には加盟国と欧州議会の承認が必要となるが、各国 […]

欧州委員会は4月20日、2012年EU予算の原案を発表した。予算総額は前年比4.9%増の1,327億ユーロ(支払いベース)で、伸び率は前年の2.9%を大きく上回る。予算案成立には加盟国と欧州議会の承認が必要となるが、各国が緊縮政策を進める中、インフレ率を上回る予算増額に英国など主要国は即座に反発しており、調整の難航が必至な情勢だ。

\

EU予算に関しては、欧州議会が上積みを求める一方、大部分を負担する加盟国側が大幅な増額に抵抗するのが通例。2011年予算をめぐっては、欧州委が当初、前年比5.9%増となる原案を提示したが、英、独、仏など拠出負担の重い主要国が反発して審議が紛糾し、最終的に2.9%の増額で決着した経緯がある。

\

欧州委のレヴァンドフスキ委員(予算担当)は今回の予算増額について、中期予算計画に組み込まれた研究開発、インフラ整備事業などを実行するために不可欠と指摘。行政運営費の伸びを凍結したほか、EU独自の全地球測位システムを導入する「ガリレオ」計画など順調に進んでいないプロジェクトの予算を削減したことを強調し、理解を求めている。

\

しかし、加盟国がEUの主導で財政再建を進めている時期だけに、英、独、仏、オランダなど主要国は一斉に反発。英政府の報道官は20日、「4.9%の伸びは受け入れられない。他の国々と連携し、納税者のためになる結果を勝ち取るつもりだ」と述べ、増額凍結を求めていく意向を表明した。

\