2011/5/9

総合 –EUウオッチャー

ポルトガルに780億ユーロ支援、政府とEU・IMFが合意

この記事の要約

EUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請しているポルトガルのソクラテス首相は3日、両機関と支援条件で基本合意したと発表した。今後3年間にわたって総額780億ユーロの融資を受ける。ポルトガル政府は支援と引き換えに、財政 […]

EUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請しているポルトガルのソクラテス首相は3日、両機関と支援条件で基本合意したと発表した。今後3年間にわたって総額780億ユーロの融資を受ける。ポルトガル政府は支援と引き換えに、財政再建に向けた構造改革などに取り組む。

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財政赤字がEUの財政規律で上限となっている国内総生産(GDP)比3%を大幅に超えているポルトガルでは、政府が3月に提出した追加の赤字削減策が、野党が過半数を占める議会で否決され、ソクラテス首相が辞意を表明。6月5日に実施される総選挙を経て新政権が発足するまで財政再建が宙に浮くことになったことから信用不安が増幅し、政府は4月6日にEU、IMFに緊急融資を要請していた。

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ソクラテス首相によると、ポルトガルは緊急融資の条件として、2010年にGDP比9.1%まで膨らんだ財政赤字を11年に5.9%、12年に4.5%まで減らし、13年に3%まで削減して財政基準を満たす。財政基準達成は政府目標の12年から1年先送りされることになる。また、11年の赤字削減も従来のGDP比4.6%より緩やかなものとなった。

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IMFが5日明らかにしたところによると、同機関は融資の3分の1を提供する。融資の利率は3.25~4.25%程度で、すでに支援を受けているギリシャ、アイルランドとほぼ同水準。EUによる融資の利率は決まっていない。

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このほかポルトガルは、国営企業民営化などの構造改革を求められる。現政権は選挙管理内閣で権限が限定されているため、合意内容は野党の承認を得る必要がある。

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一方、EUも合意内容について加盟国の承認を取り付ける必要があり、16、17日に開く財務相理事会で承認を求める見通し。しかし、先の議会選挙で反EU政党が躍進したフィンランドで、ポルトガル支援の承認に向けた手続きが混迷しており、融資の早期実施は微妙な情勢だ。

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