2011/5/2

競争法

CDSで競争法違反の疑い、EUが16金融機関を調査

この記事の要約

欧州委員会は4月29日、欧米の16金融機関が国家や企業の信用リスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でEUの競争法に違反する行為を働いている疑いで、調査を開始したことを明らかにした。\ 調査対象とな […]

欧州委員会は4月29日、欧米の16金融機関が国家や企業の信用リスクを売買するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でEUの競争法に違反する行為を働いている疑いで、調査を開始したことを明らかにした。

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調査対象となっているのは、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、バークレイズ、BNPパリバ、シティグループ、コメルツ銀行、クレディ・スイス、ドイツ銀行、HSBC、モルガン・スタンレー、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、UBS、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル、ウェルズ・ファーゴ/ワコビアの16金融機関。

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欧州委はCDS市場に関する2つのケースについて調査している。ひとつは、16金融機関がCDS市場の情報を提供する英マークイットと共謀し、各機関のCDS取引に関する情報をマークイットだけに流して金融情報を統制するとともに、他の情報会社を閉め出しているという疑い。もうひとつは、16金融機関のうちバンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、シティグループ、クレディ・スイス、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、モルガン・スタンレー、UBSの9行が、CDS決済で欧州大手のICEクリア・ヨーロッパだけを利用する見返りとして、手数料などで優遇扱いを受ける契約を結び、他の決済機関の市場参入を阻害しているという疑惑だ。いずれも独占的な地位の悪用を禁止するEU競争法に違反する疑いがあるとしている。

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欧州委による今後の調査で、競争法違反と断定された場合は、対象金融機関は全世界の売上高の最大10%に相当する制裁金支払いを命じられる可能性がある。

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EUはCDSをめぐり、国債などの投機的な取引がギリシャに端を発したユーロ圏の信用不安を引き起こした一因として、規制強化に乗り出しており、CDSの空売りなどを制限する方向で調整を進めている。今回の動きは、CDSへの締め付けを一段と強めた格好だ。

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