2011/5/9

産業・貿易

対日EPA交渉、首脳協議での合意は「困難」=欧州委員長

この記事の要約

日本の松本剛明外相は2、3日の両日、ブリュッセルで欧州委員会のバローゾ委員長らと会談し、日・EU間の経済連携協定(EPA)締結交渉を開始するための条件などについて意見交換した。日本側が今月下旬に開かれる日・EU定期首脳協 […]

日本の松本剛明外相は2、3日の両日、ブリュッセルで欧州委員会のバローゾ委員長らと会談し、日・EU間の経済連携協定(EPA)締結交渉を開始するための条件などについて意見交換した。日本側が今月下旬に開かれる日・EU定期首脳協議での交渉開始の合意を改めて呼びかけたのに対し、欧州委も早期の交渉開始に向けて作業を継続する方針を確認したが、EU側は非関税障壁の撤廃や公共調達市場の開放をめぐる日本の対応が不十分とみており、首脳会議での合意は困難との見通しが示された。

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日・EU間のEPAをめぐる協議では、日本は自動車や液晶テレビをはじめとする品目の関税の撤廃や削減を要求。一方、EUは3月末の首脳会議で、日本の復興支援の一環として対日EPA交渉開始を前向きに検討することで一致しているが、医療機器の認可手続きの簡素化、自動車の安全基準や建築用木材の規格の規制緩和、鉄道など公共調達市場における規制緩和などを交渉開始の条件としている。

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欧州委のデフフト委員(通商担当)とバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は松本外相との協議で、5月27-28日に予定される定期首脳協議に向け、EPA交渉開始を目指して作業を加速させたい考えを示したものの、政府調達など非関税障壁の分野で日本側の取り組みがなお不十分と指摘。また、バローゾ委員長もEPA締結に向けて「明確なメッセージ」を発信したいと述べたが、一部の加盟国で非関税障壁の撤廃に向けた日本側の対応が十分ではないとの意見が根強いことから、首脳協議での交渉開始の合意形成は困難との見方を示し、なお一段の取り組みを求めた。

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