2011/5/9

産業・貿易

鉄道の予約・発券システム共通化、欧州委が新規則発表

この記事の要約

欧州委員会は5日、EU域内の国境を超えた鉄道旅客輸送を円滑化するための新たな規則を採択した。運行スケジュールや運賃に関するデータを標準化して域内の鉄道会社や旅行代理店などが情報を共有できるシステムを構築し、航空機と同様、 […]

欧州委員会は5日、EU域内の国境を超えた鉄道旅客輸送を円滑化するための新たな規則を採択した。運行スケジュールや運賃に関するデータを標準化して域内の鉄道会社や旅行代理店などが情報を共有できるシステムを構築し、航空機と同様、域内のどこからでも国境を超えるルートの予約や発券を可能にして鉄道輸送の競争力強化を図る。欧州委は鉄道会社にITシステムの整備などを義務付ける具体的なルールの策定を進め、来年中に法制化する方針を示している。

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鉄道政策はこれまで国ごとに進められており、異なるシステムで時刻表や運賃が管理されているため、一部のケースを除いて国境を超える移動ルートを一括で予約したり、発券することは現在のところ極めて困難な状況にある。欧州委は温暖化対策など環境面からも鉄道輸送を活性化する必要があると指摘し、EU全体で運行スケジュールを調整したり、域内共通の予約・発券システムを構築することで、とりわけ主要都市を結ぶ中距離移動で鉄道輸送が競争力を高め、飛行機に匹敵するシェアを持つことが可能になると説明している。

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欧州委が採択した新規則「旅客サービスへのテレマティクスの利用」は時刻表や運賃の策定で不可欠なデータの標準化に重点を置いている。域内の鉄道会社が列車の発着時刻、停車する駅、客車の種類、予約状況、料金設定などさまざまな情報を共有し、相互に予約や発券などの業務を処理できる仕組みを整備するほか、旅行代理店などへの適正な情報提供を義務付けて利便性を高める。EU全域で実際に座席の予約や発券が円滑に行われるようにするため、欧州委は今後、すべての鉄道会社と予約・発券の取扱業者に対し、EU基準に適合したデータ管理システムの導入を義務付けるための具体的なルールを策定する。

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