2011/5/16

総合 –EUウオッチャー

ECB次期総裁に伊ドラギ氏が就任へ、独首相が支持表明

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)の次期総裁に現イタリア中銀総裁のマリオ・ドラギ氏(63)が就任することが事実上内定した。総裁人事のカギを握るドイツのメルケル首相が11日、同氏の就任を支持する意向を表明したため。ドラギ氏の次期総裁就 […]

欧州中央銀行(ECB)の次期総裁に現イタリア中銀総裁のマリオ・ドラギ氏(63)が就任することが事実上内定した。総裁人事のカギを握るドイツのメルケル首相が11日、同氏の就任を支持する意向を表明したため。ドラギ氏の次期総裁就任は16日に開かれるユーロ圏財務相理事会で提案され、6月のEU首脳会議で正式決定する見通しだ。

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10月に退任するトリシェ現ECB総裁の後任人事をめぐっては、初代総裁が仏独の駆け引きの末にオランダ人のドイセンベルク氏に決まり、2代目はフランス人のトリシェ氏だったことから、順当なら大国ドイツから選ばれるはずだった。ところが、最有力候補と目されていたドイツ連邦銀行のウェーバー総裁が2月、次期総裁に就任するつもりはないと表明し、レースから脱落。代わってドラギ氏が本命候補として急浮上していた。

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ECB総裁人事では、ユーロ圏の主要国である独、仏、伊が大きな影響力を持つ。ドラギ氏の次期総裁就任については、すでに伊ベルルスコーニ首相と仏サルコジ大統領が支持を表明済み。残るドイツの対応に注目が集まっていた。

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メルケル首相は、ドイツでウェーバー総裁に匹敵する候補がいなかったことから、最終的にドイツ人総裁の誕生を断念。独週刊紙ツァイトに対して「ドラギ氏は経験豊かで、安定的で堅実な経済活動の重視という立場で我が国と近い。ドイツは同氏のECB総裁就任を支持する」と述べた。

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ドラギ氏は世界銀行、イタリア財務省、米ゴールドマン・サックスで要職を歴任。2005年に伊中銀総裁に就任した。金融引き締めによるインフレ抑制を最重視する“タカ派”として知られる人物だ。ECB総裁就任後は、ユーロ圏の信用不安問題への対処が大きな課題となる。

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