2011/5/16

環境・通信・その他

原発ストレステストめぐる協議、検査項目で合意できず

この記事の要約

欧州委員会とEU27カ国の原子力安全当局は12日、ブリュッセルで域内の原子力発電所の安全性を点検する「ストレステスト」について協議したが、検査項目などをめぐって意見調整がつかず、決定を先送りした。今月19、20の両日にプ […]

欧州委員会とEU27カ国の原子力安全当局は12日、ブリュッセルで域内の原子力発電所の安全性を点検する「ストレステスト」について協議したが、検査項目などをめぐって意見調整がつかず、決定を先送りした。今月19、20の両日にプラハで再び会議を開き、調整を図る。

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EU加盟国は福島第一原子力発電所の事故を受け、域内にある143基の原子炉を対象に、EU共通の基準に基づいて安全性を総点検することで合意。地震、洪水、豪雨などの自然災害をシナリオとして想定し、原発がどの程度の耐久性を備えているか、非常時に冷却機能を確保できるかなどを重点的に調べることになっている。

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問題となっているのは、テロ攻撃や飛行機事故などを想定した対策を検査項目に盛り込むべきかどうかという点。欧州委員会はこうした人為的災害も想定に加えるべきだとの考えを示しているが、これに対して原発大国のフランスや英国が強く反対。また、原発導入国の規制当局が策定した実施計画の原案によると、実際には原発を運営する事業者が検査を行い、各国当局が結果をまとめることになっているが、EUとして検査結果をどのように評価すべきかについても意見が分かれ、合意することはできなかった。

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欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は声明で「原発のリスクと安全性に関する広範で信頼性の高いストレステストが求められている」と指摘。「重要なのはタイミングより検査の中身だ」と述べ、より厳格な基準で検査を実施すべきだとの考えを改めて強調した。

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