2011/5/23

総合 –EUウオッチャー

EUが対イラン制裁強化へ、対象を大幅に拡大

この記事の要約

EUは19日、イランに対する制裁措置を強化する方針を明らかにした。23日に開かれる外相理事会で正式決定する予定。これにより、新たに約100社が制裁対象に指定されることになる。\ 追加制裁では、イランの核開発計画に関与する […]

EUは19日、イランに対する制裁措置を強化する方針を明らかにした。23日に開かれる外相理事会で正式決定する予定。これにより、新たに約100社が制裁対象に指定されることになる。

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追加制裁では、イランの核開発計画に関与する企業に資金援助を行っていたと判断するのに十分な証拠が集まったとして、ドイツのハンブルクに本店を置く欧州イラン貿易銀行(EIH)が対象リストに含まれるもよう。すでに同行は、米国の制裁対象となっている。このほか、新たに5人が個人的な制裁対象として指定され、域内への渡航禁止と資産の凍結が実施される。いずれも制裁対象企業の幹部だという。

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国連安全保障理事会は昨年6月、イランに対する4回目の制裁決議を採択し、追加制裁を実施した。イランのエネルギー分野に対する設備・技術・サービスの提供や新規投資を禁じたほか、兵器に転用可能な機器の禁輸、EUで営業するイラン系銀行の活動の監視と支店設立の禁止、4万ユーロ以上の同国向け送金に対する許可制の導入、海運や航空貨物などのサービスにも制裁が科されている。

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EUはイランの最大の貿易相手であることから、加盟各国による追加制裁はイランに大きな打撃を与えるとみられ、英独仏露中米6カ国との協議再開につながると期待された。しかし、実際には交渉は進展しておらず、アシュトンEU外相(外交安全保障上級代表)は19日、「イランには、協議再開についての再考を求める。だが、今のところイランがそうする気配はみられない」と発言。問題のこう着状態に対する苛立ちを露わにした。イランの原子力問題に関する交渉責任者、サイード・ジャリリ国家安全保障最高会議書記は先ごろ、アシュトン氏に対する書簡で「協議は公正でなくてはならず、制裁措置の強化という圧力を再び強めることがあってはならない」と伝えており、今回の追加制裁措置は、この問題に対するEU側の不満を反映したものと指摘されている。

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