2011/5/30

産業・貿易

知財権の総合戦略発表、著作権管理統一など提案=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は24日、EUの知的財産権に関する総合戦略をまとめた政策文書「知的財産権のための単一市場」を公表した。国境を越えた音楽・映像の著作権を管理するための法的枠組みの導入や、デジタル海賊行為に対する規制の強化などが主 […]

欧州委員会は24日、EUの知的財産権に関する総合戦略をまとめた政策文書「知的財産権のための単一市場」を公表した。国境を越えた音楽・映像の著作権を管理するための法的枠組みの導入や、デジタル海賊行為に対する規制の強化などが主な内容。ネット時代に対応した法的枠組みを整備し、新たなビジネスチャンスの創出をサポートする。

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EUでは現在、加盟国ごとに音楽や映像の著作権管理の仕組みが異なり、配信サービスは国ごとに権利者などから利用許諾を受ける。欧州委は著作権管理の統一化や著作権料分配に関する共通ルールを創設する方針で、2011年後半に法案をまとめる。

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また、ネットの普及に伴い深刻化している海賊版・違法ダウンロード問題により効果的に対処するため、欧州模倣品・海賊版監視部門(ECPO)の権限を強化する。

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欧州委によると、海賊版・違法ダウンロードにより欧州の音楽・映画・テレビ業界が2008年に被った被害の総額は100億ユーロに上った。このほか、著作権の保護期間が存続しているが著作権者の識別・連絡先の特定ができない新聞、雑誌、映画などを電子化して「デジタル図書館」に収蔵し、ネット上で閲覧できるようにするための共通ルールの創設や、商標制度の近代化、地域由来の製品を保護する「地理的表示」を農産品以外にも導入することなども提案している。

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欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は記者会見で「欧州経済にとって重要なのは、単一市場において知的財産権を適切なレベルでの保護を確保することだ」と指摘。今回発表した戦略は、「知的財産権の保護と市民の文化的コンテンツへのアクセスの権利とを両立させることを目指している」と述べた。

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