2011/5/30

産業・貿易

ホルモン牛肉めぐる紛争が終結へ前進、米がEU製品への報復関税撤廃

この記事の要約

米政府は27日、成長促進ホルモンを使用した米国産牛肉の輸入を停止しているEUへの対抗措置として適用してきた一部EU製品に対する報復関税を撤廃すると発表した。EUが2009年の合意に基づく米国産牛肉の非関税輸入枠拡大を履行 […]

米政府は27日、成長促進ホルモンを使用した米国産牛肉の輸入を停止しているEUへの対抗措置として適用してきた一部EU製品に対する報復関税を撤廃すると発表した。EUが2009年の合意に基づく米国産牛肉の非関税輸入枠拡大を履行している上、さらなる輸入拡大も見込めると判断した。これにより1990年代から続く同通商紛争が終結へ大きく近づいた。

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EUは発がん性のリスクなどを理由に、成長促進ホルモンを使用した米国産牛肉に対する禁輸措置を発動しているが、世界貿易機関(WTO)は1998年、EUの措置は科学的なリスク評価に基づくものではないという米側の主張を認め、同国のEUに対する制裁を認める裁定を下した。これを受けて米国はトリュフ、フォアグラ、ロックフォール・チーズといったEU産高級食品などに99年7月から100%の報復関税を課す措置を発動。しかし、2009年に双方が歩み寄り、EUが成長ホルモンを使わない米国産牛肉の非関税輸入枠を段階的に拡大する一方、米側はEU製品に対する報復関税の拡大を見送り、すでに適用している報復関税については4年後に撤廃することで合意していた。

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米政府は今回、報復関税の期限である2012年8月を待たずに撤廃を決めた。これをEU側は歓迎しており、欧州委員会は見返りに非関税輸入枠のさらなる拡大を検討することを明らかにした。

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EUはホルモン牛肉をめぐり、カナダとも同様の紛争を抱えていたが、今年3月にEUがカナダ産牛肉の非関税輸入枠を拡大するとともに、カナダがEU製品に対する制裁を解除することで合意し、決着している。

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