2011/6/6

競争法

米社による日立・サムスンのHDD事業買収、欧州委が疑義

この記事の要約

欧州委員会は5月30日、日立製作所と韓国・サムスン電子のハードディスクドライブ(HDD)事業を米2社が買収する計画をめぐる競争法上の審査について、本格的な調査を開始すると発表した。HDD分野での寡占が強まる恐れがあると判 […]

欧州委員会は5月30日、日立製作所と韓国・サムスン電子のハードディスクドライブ(HDD)事業を米2社が買収する計画をめぐる競争法上の審査について、本格的な調査を開始すると発表した。HDD分野での寡占が強まる恐れがあると判断したためで、10月10日を期限に改めて詳細な調査を行い、買収の可否を決める。

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問題となっているのは、ウエスタン・デジタル(WD)による日立のHDD事業買収と、シーゲート・テクノロジーによるサムスン電子の同事業買収。HDDで世界最大手のWDは3月、日立の事業を総額約43億ドルで買収することで合意。同2位のシーゲートは4月にサムスンの事業を約14億ドルで買収することで合意していた。

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HDD市場はWD、シーゲート、日立、サムスン、東芝の5強体制だったが、買収によりシェアをWDが50%、シーゲートが40%に拡大する。欧州委は初期調査の結果、3.5インチのデスクトップパソコン用HDDでWD、シーゲートの2強体制となり、2.5インチのモバイルHDDでは東芝を加えた3強となって寡占状態が強まり、「デジタル経済の屋台骨であるHDDでの競争がさらに弱まる」(アルムニア競争政策担当委員)と判断。現時点での認可を見送り、本格的な調査を進めることを決めた。

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これによりWDとシーゲートは、EUの買収認可を取り付けるため、一部事業の売却を迫られる可能性が強まってきた。

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