2011/6/13

総合 –EUウオッチャー

ECB総裁が来月の利上げ予告、インフレに「強い警戒」

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は9日にフランクフルトで開いた定例政策理事会後の記者会見で、インフレ進行への「強い警戒が必要だ」と述べ、来月の利上げを示唆した。これによりECBが7月の理事会で、4月に続く利上げに踏み […]

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は9日にフランクフルトで開いた定例政策理事会後の記者会見で、インフレ進行への「強い警戒が必要だ」と述べ、来月の利上げを示唆した。これによりECBが7月の理事会で、4月に続く利上げに踏み切ることが確実な情勢となってきた。

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同日の理事会では、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を年1.25%に据え置くことを決めた。

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ECBは原油、食料価格の高騰でユーロ圏の消費者物価が急上昇していることを受けて、4月に約3年ぶりとなる利上げを実施。政策金利を0.25%引き上げ、年1.25%とした。しかし、その後も物価上昇圧力が続き、インフレ率はECBの上限目標値である2%を大きく上回っていることから、市場では追加利上げのタイミングを模索する動きが強まっていた。

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インフレへの「強い警戒」という総裁の言葉は、過去の利上げで例外なく1カ月前に使われていたもの。市場の注目は、総裁が今回、この言い回しで来月の利上げを予告するかどうかに集まっていた。利上げ予告により、7月に0.25%の利上げが実施され、政策金利が1.5%まで引き上げられるとの見方が大勢を占めている。

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ユーロ圏経済は1-3月期に前期比0.8%の成長を記録したが、ギリシャ、ポルトガル、アイルランドで信用不安がくすぶっている。それでも物価安定を至上命題とするECBは、原油・食品高が他の物価に波及することを懸念しており、トリシェ総裁は現行の金利政策が「なお緩和的だ」と述べ、利上げの必要性を強調。追加利上げがギリシャなどに悪影響を及ぼす恐れがあることについても「ユーロ圏全体がインフレ率上昇の見通しで一致している場合、一致して(物価を)安定させるものだ」と述べ、インフレ対策を優先する姿勢を明確に打ち出した。

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ECBは同日公表した内部経済予測で、ユーロ圏の2011年の予想インフレ率を2.6%とし、前回(3月)の2.3%から0.3ポイント上方修正した。予想成長率については、前回の1.7%から1.9%に引き上げた。

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一方、トリシェ総裁は、ギリシャへの第2次金融支援問題で、ドイツが民間国債保有者に償還期限の7年延長を条件として求めていることに関して、「クレジット・イベント(信用事由)を生じさせる決定は、途方もない間違いだ」と述べ、債務再編に反対する姿勢を明示した。

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