2011/6/13

産業・貿易

欧州議会が契約法統一を支持、欧州委が今秋に法案提出へ

この記事の要約

欧州議会は8日の本会議で、企業間取引や企業と一般消費者の取引などに関するルールを定めた契約法をEUレベルで統一する構想を賛成多数で可決した。国ごとに異なるルールが国境を越えた商取引の障害となり、特に中小企業が国外で事業展 […]

欧州議会は8日の本会議で、企業間取引や企業と一般消費者の取引などに関するルールを定めた契約法をEUレベルで統一する構想を賛成多数で可決した。国ごとに異なるルールが国境を越えた商取引の障害となり、特に中小企業が国外で事業展開する機会を奪っているとの認識に立ったもの。欧州委員会は2020年に向けた成長戦略の一環として契約法の統一を提言しており、欧州議会の支持を受けて今秋をめどに「欧州契約法」の草案をまとめる方針を示している。

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EUでは現在、国ごとに異なる契約ルールが運用されているため、域内の複数の国で事業を展開する企業は常に法律上の不確定要素を抱え、コスト面でも大きな負担を強いられている。一方、一般消費者にとっても国外の企業と取引する際に契約上のトラブルに直面するケースが多く、国境を越えた商取引の阻害要因になっている。欧州委は国ごとに異なる契約システムがとりわけ域内企業の99%を占める中小企業の国外進出を阻む要因になっていると指摘し、EU共通の契約ルールを整備することが経済の活性化につながるとして法制化の作業を進めている。

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本会議で可決された契約法の統一構想によると、新システムでは域内の企業は国ごとに運用されている既存の契約ルールか、新たに導入されるEU共通の契約ルールのどちらか一方を選び、それに基づいて事業を展開することができる。欧州委のレディング副委員長(司法担当)は「欧州議会の採決で任意の欧州契約法の構想が支持されたことを歓迎する。欧州委は国境を越えた商取引の促進につながるあらゆる手段について検討を進めており、欧州議会によって支持された契約法の統一構想は的確な選択だと確信している」と述べた。

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