2011/6/13

総合 –EUウオッチャー

ルーマニア・ブルガリア、シェンゲン協定参加見送り

この記事の要約

EU加盟国は9日に開いた司法・内務相理事会で、EU加盟国などが出入国審査を廃止し、旅行者が域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」へのルーマニアとブルガリアの参加を見送ることを決めた。両国は国境管理体 […]

EU加盟国は9日に開いた司法・内務相理事会で、EU加盟国などが出入国審査を廃止し、旅行者が域内をパスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」へのルーマニアとブルガリアの参加を見送ることを決めた。両国は国境管理体制の強化など参加基準を満たしているものの、汚職・組織犯罪対策が不十分で、密輸の横行、犯罪者や不法移民流入の恐れがあるとして、現時点での参加は時期尚早と判断した。

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シェンゲン協定参加には、域外諸国から西欧への不法移民、犯罪者の流入を防ぐため、各国が域外との国境管理で十分な態勢を敷くことなどが条件となっている。EUの中東欧諸国ではブルガリア、ルーマニアを除く8カ国が2007年12月に参加。ルーマニアとブルガリアは今年6月までの参加決定を目指していた。

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欧州議会は8日の本会議で、両国が基準をすべて満たした認定し、シェンゲン協定参加を承認することを採択していた。しかし、司法・内務相理事会では、オランダ、ドイツ、フランス、デンマークなどが、国境管理などに関する細い規則で基準を満たしていても、汚職や組織犯罪が蔓延していては正しく運用できないとして、両国の関連対策が進むまで参加を見送るべきと主張し、承認を拒否。ブルガリアとルーマニアは参加に必要な全会一致での承認を得られなかった。EUで現在、北アフリカからの不法移民流入が問題となっており、各国が国境管理に神経質になっていることも両国に災いした。

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EUは欧州委員会が7月に発表する両国の国内改革の進展状況を検証する報告書の内容を見極めた上で、関連対策が十分に進んだかどうかチェックし、9月に協定参加の可否を再検討する。

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シェンゲン協定には現在、英国とアイルランド、ルーマニア、ブルガリア、キプロスを除くEU諸国とノルウェー、アイスランド、スイスの計25カ国が参加している。

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