2011/6/20

環境・通信・その他

仏のハムスター保護対策は不十分、欧州裁が欧州委支持

この記事の要約

欧州司法裁判所はこのほど、野生動植物の生息地保全に関するEU指令で保護対象に指定されている仏アルザス地方のクロハラハムスターについて、フランス政府が十分な保護対策を講じていないとする判断を下した。\ 1992年の生息地指 […]

欧州司法裁判所はこのほど、野生動植物の生息地保全に関するEU指令で保護対象に指定されている仏アルザス地方のクロハラハムスターについて、フランス政府が十分な保護対策を講じていないとする判断を下した。

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1992年の生息地指令は絶滅の危機や個体数の急激な減少に直面する野生の動植物を保護するため、特別保護区を設けて開発を規制することを目的としている。仏政府は同指令に基づき、クロハラハムスターが好んで食べるアルファルファや小麦などの栽培農家に補助金を支給するなどの措置を講じていたが、欧州委員会は保護地区周辺で開発が進んだ結果、急激な個体数の減少を招いたと指摘。仏政府の対応が不十分だったとして2008年に訴えを起こしていた。

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クロハラハムスターはヨーロッパハムスターとも呼ばれ、黒い腹部が特徴で体長は20センチを超える。以前は中央ヨーロッパに広く生息していたが、農地開発や都市化などの影響で生息地が狭められ、現在フランスではストラスブール周辺のごく狭い地域に生息するのみとなっている。欧州委によると、2001年には同地域で1,167個に上ると冬眠用の巣穴が確認されたが、07年には161個に減少しており、存続可能な最小個体数を大幅に下回っている。

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裁判所は同地域でアルファルファや小麦に代わって収益性の高いトウモロコシが栽培されるようになり、クロハラハムスターが十分な餌を確保できなくなったことや、都市化の影響で生息環境が大きく変化したことが個体数の減少につながったと指摘。生息地指令に沿って十分な対策を講じなかった仏政府の対応が危機的な状況を招いたと結論づけた。

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