2011/6/27

総合 –EUウオッチャー

ギリシャ支援にEU開発基金活用、首脳会議で合意

この記事の要約

EUは23日の首脳会議で、深刻な財政危機に直面するギリシャに対して、EUの開発基金を活用して支援を行うことで合意した。一方、国際通貨基金(IMF)と共同で実施する第2次金融支援については、ギリシャ議会が中期財政再建計画を […]

EUは23日の首脳会議で、深刻な財政危機に直面するギリシャに対して、EUの開発基金を活用して支援を行うことで合意した。一方、国際通貨基金(IMF)と共同で実施する第2次金融支援については、ギリシャ議会が中期財政再建計画を承認することを条件に、7月初めのユーロ圏財務相会合で協議することを決めた。

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EUの開発基金は、各国の経済発展が遅れている地域の振興を支援するもので、ギリシャは2013年までにEU予算から200億ユーロが割り当てられ、うち約150億ユーロの枠が残っている。今回の合意では、同基金を景気刺激策や雇用創出のプロジェクトにも活用できるようにする。

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また、同基金の対象プロジェクトには通常、各国も総事業費の50%を拠出することを求められるが、ギリシャの場合は財政事情が苦しいことを考慮し、拠出割合を15%に引き下げる。

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ギリシャは昨年5月、EUとIMFから3年間で総額1,100億ユーロの緊急協調融資を受けることが決まった。しかし、同支援の条件として約束した財政赤字削減が景気後退による税収減などで進んでいないことから信用不安が増幅し、国債の利回りが高水準で推移している。このため、同国は巨額の国債償還を控えているが、国債の新規発行よる償還資金調達が困難な状況で、デフォルト(債務不履行)の危機に直面している。

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これを受けてEUとIMFは総額1,000億ユーロ規模の第2次支援実施を検討中。また、第1次支援に基づく第5弾融資120億ユーロの早期実行も迫られている。しかし、両支援はギリシャ政府がまとめた280億ユーロの財政赤字削減を柱とする中期財政再建計画(対象期間2011~14年)を議会が承認することが前提となる。

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EUは同再建策が30日までに議会で承認されるよう求めている。これが実現すれば、ギリシャが多額の国債償還期限を迎える直前の7月3日にユーロ圏財務相会合を開き、第2次支援を決める見込み。第1次支援の第5弾融資も7月中に実行される。

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第2次支援をめぐっては、ユーロ圏17カ国は19、20日に開いた財務相会合で、ギリシャ国債を保有する民間銀行などが、償還期限を迎えた際に自発的にロールオーバー(買い替え)に応じ、一定の負担を引き受ける方式を取り入れることで合意。首脳会議では同方針を承認した。

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一方、首脳会議では、ユーロ参加国の政府保証による総額7,800億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」と、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達する600億ユーロの欧州金融安定メカニズム(EFSM)の2つからなるEUのユーロ諸国支援基金のうち、EFSMについてはギリシャへの第2次支援に活用しないことで合意した。EU予算をギリシャ支援に追加投入することに反発している英国の要求を受け入れた形となる。

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