2011/6/27

総合 –EUウオッチャー

ESM、ギリシャなどの支援に「優先債権者待遇」適用せず

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は20日にルクセンブルクで開いた財務相会合で、財政危機に陥ったユーロ参加国に対する緊急金融支援の常設的な枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」について、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの融資に際 […]

ユーロ圏17カ国は20日にルクセンブルクで開いた財務相会合で、財政危機に陥ったユーロ参加国に対する緊急金融支援の常設的な枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」について、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの融資に際しては「優先債権者待遇」を付与しないことで合意した。

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ESMは現行の支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」を2013年半ばから引き継ぐもので、融資枠は5,000億ユーロ。EU版の国際通貨基金(IMF)と位置づけられている。当初はユーロ参加国に支援を行う場合、融資返済についてIMFを除く民間債権者より優先される特別待遇」を認めることになっていた。

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しかし、深刻な税制危機に直面しEFSFからすでに支援を受けているギリシャ、アイルランド、ポルトガルは、「同待遇がESMに認められると、返済で不利となる民間債権者がリスクを恐れて3カ国の国債を引き受けなくなり、信用不安が増幅する」として反発。財務相会合では同主張を受け入れ、3カ国への融資に限っては優先債権者待遇を適用しないことを決めた。

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同日の理事会では、EFSFの拡充で正式合意した。融資枠を現行の2,000億ユーロから4,400億ユーロに拡大する。ユーロ参加国による政府保証を120%から165%に拡大することで基金規模を4,400億ユーロから7,800億ユーロに引き上げ、融資枠拡大を可能とする。

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