2011/6/27

環境・通信・その他

エネルギー効率指令案発表、進捗に応じて拘束力ある国別目標も

この記事の要約

欧州委員会は22日、EU全体で2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を達成するための具体策を盛り込んだ「エネルギー効率指令(案)」を発表した。EUは温暖化対策の一環として20%の省エネ目標を掲げ、家電製品や建 […]

欧州委員会は22日、EU全体で2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を達成するための具体策を盛り込んだ「エネルギー効率指令(案)」を発表した。EUは温暖化対策の一環として20%の省エネ目標を掲げ、家電製品や建築物などのエネルギー効率を高めるためにさまざまな施策を導入している。しかし、欧州委は現行の取り組みでは20年時点で9%程度の省エネにとどまる公算が大きいと警告。公共施設の省エネ促進などを柱とする新ルールを打ち出すと共に、14年時点で進捗状況を見極め、取り組みが不十分な場合は国別の数値目標を設定して各国に達成を義務付ける方針を示している。

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指令案によると、EU各国の公的機関はエネルギー効率の高い製品やサービスの購入に加え、公共施設の省エネリフォームを毎年実施することが義務付けられる。具体的には14年から幼稚園や学校をはじめとする公共施設を対象に、総床面積の3%を毎年改装して断熱材や二重窓などの導入を進めることが求められる。建築物(民間を含む)はEU全体のエネルギー消費の約40%を占めているが、欧州委は新たな取り組みを通じて最大60%の省エネが可能と説明している。

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一方、電気、ガス、暖房用燃料の輸送および小売りを手掛ける域内のエネルギー企業は前年の販売量の1.5%相当の省エネが義務付けられる。加盟国は自国の実情に合わせて目標達成に向けたスキームを策定し、一般家庭を含めた顧客側に断熱材や二重窓などの設置を促してエネルギー使用量を抑制する。欧州委は同措置が確実に実行された場合、20年にはEU全体のエネルギー消費量を6.4%減らすことができると試算している。

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指令案にはこのほか◇大企業にエネルギー使用量や建物のエネルギー効率などに関する監査を義務付ける一方、中小企業にも監査を奨励してエネルギー管理の効率化を図る◇家庭の電気使用量を事業者に自動送信するスマートメーター(次世代電力計)の導入を加速させ、誰でも無料で使用できるようにして消費者の省エネ意識を高める ― などが盛り込まれている。

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欧州委は加盟国が自発的に省エネ目標を設定し、新指令に沿った取り組みを進めることが望ましいと強調。そのうえで、14年の段階で20年までの目標達成が困難と判断した場合は欧州委主導で国別の省エネ目標を設定し、加盟国に達成を義務付ける方針を示している。

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