2011/6/27

環境・通信・その他

温効ガス削減目標の引き上げ、ポーランド反対で合意できず

この記事の要約

EU加盟国は21日に開いた環境相理事会で、温室効果ガス排出量の削減目標の引き上げに関する協議を行ったが、ポーランドが反対したため合意に達することができなかった。ポーランドは7月からEUの議長国となるが、同国の温室効果ガス […]

EU加盟国は21日に開いた環境相理事会で、温室効果ガス排出量の削減目標の引き上げに関する協議を行ったが、ポーランドが反対したため合意に達することができなかった。ポーランドは7月からEUの議長国となるが、同国の温室効果ガスの排出削減に消極的な姿勢が、今後のEUの温暖化対策を巡る議論に影響を与えることも考えられる。

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EUは2050年までの温室効果ガス排出量を1990年比で80~95%削減するという長期目標を掲げており、20年までの削減目標を90年比20%に設定している。欧州委員会は3月、温室効果ガスの排出削減の行程表「競争力のある低炭素経済移行のためのロードマップ」を発表し、50年までに90年比80~95%減という長期目標の達成には、20年時点で25%、30年時点で40%、40年時点で60%を実現するのが最も費用対効果が高いと結論付けた。

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21日の会合では欧州委の示した工程表に基づき、20年時点の削減目標を25%に引き上げるか否かについて話し合われたが、国内消費電力の9割を石炭で賄うポーランドが引き上げに強く反対。結局、ポーランドを除く全加盟国が引き上げに賛成したものの、全会一致による合意はならなかった。

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ヒューン英エネルギー・気候変動相は会合後の記者会見で、ポーランドが削減目標の引き上げに反対したことに「深く失望している」と述べ、「気候変動への取り組みで主導的な役割を担う欧州にとって暗黒の日だ」とコメントした。一方、ポーランドのクラシェフスキ環境相は、削減目標の変更にはより詳細な分析とともに、個々の加盟国に与える経済的影響を考慮に入れる必要があると指摘。「加盟国の個々の状況に理解を示し、欧州より強い結束を求めたい」と述べた。

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