2011/7/4

環境・通信・その他

携帯ローミングの上限料金が再引き下げ、欧州委は新たな規制を検討

この記事の要約

EU市場で1日、携帯電話を域内の他の国で使用する際のローミング料金に関する新たな規制が導入された。音声通話にかかるローミング料金の上限は発信時で1分当たり0.39ユーロから0.35ユーロ、着信時で0.15ユーロから0.1 […]

EU市場で1日、携帯電話を域内の他の国で使用する際のローミング料金に関する新たな規制が導入された。音声通話にかかるローミング料金の上限は発信時で1分当たり0.39ユーロから0.35ユーロ、着信時で0.15ユーロから0.11ユーロに引き下げられる。また、携帯電話を使って動画や音楽をダウンロードしたり、ウェブサイトを閲覧する際のホールセール料金の上限は1メガバイト当たり0.8ユーロから0.5ユーロに引き下げられる。

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EUでは07年に「携帯電話のローミングに関する規則」が制定され、他のEU諸国で通話サービスを利用する際の料金は以前に比べて約60%引き下げられた。また、欧州委員会は音声通話以外の料金規制に乗り出し、09年には国外でショートメッセージサービス(SMS)を利用したり、データ通信にかかる料金に上限を設ける新たな規制が導入された。さらに消費者保護の観点から、昨年7月にはユーザーが事前に申請しない限り、1カ月のデータ通信料が50ユーロに達した時点でサービスを停止するシステムが導入されている。

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新ルールは2012年6月に失効する現行規則に基づいた料金規制の最後のステップとなる。ただ、実際には事業者の多くが規制の上限に近い料金を設定しており、依然としてローミングサービスから莫大な利益を得ているのが実情。欧州委は昨年5月にまとめた情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」で、2015年までに域内の他の国で携帯電話を使用する際の料金を国内料金とほぼ同等にするという目標を掲げ、ローミングサービス分野での競争を促進するため、現行規制が失効した後の新たな枠組みについて検討を進めている。

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欧州委のクルース副委員長(デジタル政策担当)は声明で「新たな料金規制によって音声通話のリテール料金はさらに引き下げられることになるが、ローミングサービス市場では依然として競争が制限されており、根本的な問題は解決されていない。欧州委はこうした現状を踏まえ、近く包括的な新提案をまとめる方針だ」と述べた。

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