2011/7/11

産業・貿易

中国の鉱物輸出制限は不当、WTOがEU・米を支持

この記事の要約

中国が鉄鋼、アルミニウム、化学品の原材料となる鉱物の輸出を不当に制限しているとしてEUが米国などと共同で世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は5日、原告側の訴えを認め、中国の輸出 […]

中国が鉄鋼、アルミニウム、化学品の原材料となる鉱物の輸出を不当に制限しているとしてEUが米国などと共同で世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの紛争処理小委員会(パネル)は5日、原告側の訴えを認め、中国の輸出制限を協定違反と認定する裁定を下した。

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EUと米国は2009年6月、中国が国内で産出するボーキサイト、コークス、マグネシウム、マンガン、黄リンなど9種類の鉱物を国内企業に優先的に回すため、関税や数量制限を設けて輸出を制限しているのはWTO協定および同国のWTO加盟時の合意に反するとして提訴。メキシコも追随して提訴していた。

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EUによると、中国はボーキサイト、コークス、亜鉛、シリコン・カーバイドなどを対象に輸出量を制限。さらに、黄リン、ボーキサイト、コークス、マグネシウムなどに高率の関税を課しており、税率は黄リンで70%に達する。EUと米、メキシコはこれらの原材料の調達を制限された欧米企業が競争で不利になり、国際価格の上昇を招くと批判していた。

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WTOのパネルは欧米側の主張を全面的に認め、中国に関税、数量制限の撤廃を命じた。中国は裁定を不服として上訴する可能性がある。

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EUは、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制についても批判し、WTOへの提訴を含めた対応を検討している。今回の裁定は、同紛争でもEUに有利に働く見通し。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は声明で「中国は今回の結果を受けて、レアアース供給での公正性も確保するべきだ」としている。

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