2011/7/11

環境・通信・その他

欧州委が携帯電話市場の競争促進、ローミングのリテール料金も規制

この記事の要約

欧州委員会は6日、携帯電話を域内の他の国で利用する際にかかるローミング料金を引き下げると同時に、域内の携帯電話サービス市場で競争を促進するための新たな規制案を発表した。携帯電話事業者に通信網の開放を義務づけることや、モバ […]

欧州委員会は6日、携帯電話を域内の他の国で利用する際にかかるローミング料金を引き下げると同時に、域内の携帯電話サービス市場で競争を促進するための新たな規制案を発表した。携帯電話事業者に通信網の開放を義務づけることや、モバイルインターネットを利用して動画や音楽をダウンロードする際にかかる国際ローミングについて、事業者間のホールセール料金に加えて新たにリテール料金にも上限を設けることなどが柱。欧州議会と加盟国の承認を経て実施に移す。

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EUでは07年に「携帯電話のローミングに関する規則」が制定され、域内の他の国で音声通話やショートメッセージサービス(SMS)を利用する際のローミング料金が段階的に引き下げられている。しかし、事業者の多くが規制の上限に近い料金を設定しており、依然としてローミングサービスから莫大な利益を得ているのが実情。欧州委は昨年5月にまとめた情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」で、2015年までに域内の他の国で携帯電話を使用する際の料金を国内料金とほぼ同等にするという目標を掲げ、現行ルールが失効する2012年6月以降の新たな規制の枠組みを検討していた。

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規制案によると、携帯電話サービス会社は14年7月以降、ユーザーが域内の他の国で携帯電話を利用する際、最も低いローミング料金を設定している事業者を自由に選び、電話番号を変更せずにサービスを受けられる契約プランを提供することが義務づけられる。また、携帯各社は来年7月以降、独自に通信網を持たない事業者や国外の事業者にネットワークを開放しなければならない。いずれも国境を超えた市場参入を容易にし、域内の携帯電話市場における競争を促進するのが狙いだ。

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一方、国際ローミングの料金規制では、新たにモバイルインターネットを介したデータ利用のリテール料金に上限を設ける。現在は1メガバイト当たり平均2.23ユーロ、最も高い国では12ユーロに上るが、来年7月以降は上限が0.9ユーロ、13年7月に0.7ユーロ、14年7月には0.5ユーロと段階的に引き下げる。音声通話やSMSのローミング料金も来年以降、さらに上限を引き下げる。音声通話は発信時で現在の1分当たり0.35ユーロから来年7月には0.32ユーロ、14年7月には0.24ユーロまで引き下げる。SMSは現在1通あたり0.11ユーロの上限を来年7月以降は0.1ユーロに引き下げる。

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