2011/7/11

欧州ビジネスウオッチ

VW、MANの過半数株確保

この記事の要約

欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は4日、商用車大手MANに対する株式公開買い付け(TOB)で過半数株を確保したと発表した。両社にVW子会社のスカニアを加えた3社で商用車分野のアライアンスを形成するという計画 […]

欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は4日、商用車大手MANに対する株式公開買い付け(TOB)で過半数株を確保したと発表した。両社にVW子会社のスカニアを加えた3社で商用車分野のアライアンスを形成するという計画はこれで実現に一歩近づいた格好。今後はEUの欧州委員会に計画の認可を正式に申請する予定だ。欧州委の非公式審査はすでに始まっている。

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VWは5月上旬、3社連合の実現に向けMANへのTOB方針を明らかにした。MANを傘下に収めないと、3社の共同調達計画が独禁法に抵触し実現しないという事情があるためだ。

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VWには本来MANを買収する狙いはなく、出資比率を従来の約30%から35~40%へと引き上げMANを実質的な支配下に入れる考えだった。このためTOB価格は議決権付きの普通株で1株当たり95ユーロと、TOB計画発表前の株価を下回る水準に設定していた。

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だが、MANの株価はTOB計画発表後こそ上昇したものの、その後は下落へと転じ、TOB終了直前には普通株で約92ユーロにまで低下した。これを受けてヘッジファンドなどの機関投資家は市場でMAN株を買ったうえでVWに売却し利益を稼ぐ動きに出たため、VWの普通株ベースの出資比率は55.9%へと大きく上昇した。これに伴い、TOBの総額は当初見通しの10億~15億ユーロから約20億ユーロに膨らんでいる。

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