2011/7/25

環境・通信・その他

核廃棄物の管理計画策定が義務化、加盟国が指令承認

この記事の要約

EU加盟国は19日のエネルギー担当相理事会で、欧州委員会が2010年11月にまとめた「放射性廃棄物および使用済み核燃料の管理に関する指令」を承認した。加盟各国は今後、原子力発電所や研究施設、病院などから出る放射性廃棄物の […]

EU加盟国は19日のエネルギー担当相理事会で、欧州委員会が2010年11月にまとめた「放射性廃棄物および使用済み核燃料の管理に関する指令」を承認した。加盟各国は今後、原子力発電所や研究施設、病院などから出る放射性廃棄物の最終処理計画を2015年までに欧州委に提出することを求められる。

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指令は今年9月までに施行される見通し。最終処理計画では、地底深くに設置することと規定された最終処理施設の建設に向けての工程表、必要となる行動および費用、資金調達計画などの詳細を明示しなくてはならない。

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計画書については欧州委が検証を行い、必要と判断すれば見直しを要請できるほか、各国には少なくとも10年に1度、定期的に相互評価を行うことが求められる。それぞれの経験について情報交換を行うとともに、関連規則の水準を確実に最高レベルに維持するのが目的だ。また、最終処分については国際原子力機関(IAEA)が定める安全基準が採用され、法的拘束力を持った規則となる。  

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このほか各国には、関連情報の一般公開と、新規に建設される貯蔵施設に関する意思決定に周辺住民の参加を認めることが義務付けられる。 

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現在、同指令で求められるような地下の貯蔵施設を保有している加盟国はないため、指令では複数の国が共同で施設を建設し、共有することが認められた。また、放射性廃棄物の域外への持ち出しを容認するとしたものの、搬出先は「高レベル廃棄物を地底深くの貯蔵施設に保存できる国」に限定。現時点では該当する国はなく、完成するまでに少なくともあと40年かかるとみられている。さらに指令では、アフリカ、カリブ海および太平洋諸国、南極への放射性物質の搬出が禁止された。

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域内では現在、14カ国の原子力発電所で143基の原子炉が稼働している。毎年約5万立法メートルの放射性廃棄物が排出され、そのうち15%が高レベルの廃棄物という。各発電所では、地上や地表近くの地下に設置した倉庫や貯蔵庫に、廃棄物を数十年にわたって保管している。

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