2011/8/8

総合 –EUウオッチャー

対シリア制裁を強化、市民への暴力的弾圧を非難

この記事の要約

EUは2日、シリアのハビブ国防相や軍情報機関の幹部など5人に対し、反政府派の市民に対する暴力的な弾圧に関与したとして、同日付けでEU域内の資産を凍結したほか、域内への渡航を禁止した。\ 今回の制裁強化で、EUによる制裁措 […]

EUは2日、シリアのハビブ国防相や軍情報機関の幹部など5人に対し、反政府派の市民に対する暴力的な弾圧に関与したとして、同日付けでEU域内の資産を凍結したほか、域内への渡航を禁止した。

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今回の制裁強化で、EUによる制裁措置の実施は、今年3月中旬に反政府派のデモが頻発するようになってから4度目となる。すでにアサド大統領をはじめ、政権幹部など35人が制裁対象となっている。

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EUが追加措置を決定した背景には、先週末にシリア軍が行った一般市民に対する“大量虐殺”がある。人権活動団体ヒューマンライツ・ウォッチによると、イスラム教の断食月「ラマダン」が始まる前日の7月31日、西部の都市ハマでデモ参加者や礼拝に向かう市民などを標的とした攻撃が行われ、約100人が死亡した。3月以降、政府によるデモ弾圧で死亡したシリア国民は合計1,600人以上に上っている。EUのアシュトン外相(外務・安全保障政策上級代表)は同国政府に対し、国民の表現および集会の自由を認めるよう求めたほか、政治犯の釈放、国民との真の対話を要請している。

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一方、国連安全保障理事会は3日、シリア政府による市民への弾圧について「暴力行為を行った者の責任を追及する必要がある」として、シリア政府を非難する議長声明を採択した。国連がシリアに対し、具体的な行動を起こしたのは今回が初めて。しかし、声明はアサド大統領を名指ししておらず、国連による制裁に反対の立場を維持してきた中国やロシア、南ア、インド、ブラジルなどに一定の譲歩を示した格好といえる。

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