2011/8/22

総合 –EUウオッチャー

4-6月のユーロ圏成長率は0.2%、独仏の失速響き大幅後退

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが16日発表した2011年4-6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.2%増となり、伸び率は前の期の0.8%から大きく縮小した。ユーロ圏経済を […]

EU統計局ユーロスタットが16日発表した2011年4-6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.2%増となり、伸び率は前の期の0.8%から大きく縮小した。ユーロ圏経済を支えるドイツ、フランスの失速が響き、景気後退を脱した2009年7-9月期以降で最低の成長となった。(表参照)

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EU27カ国ベースのGDP伸び率も0.2%で、前期の0.8%から鈍化。前年同期比の伸び率はユーロ圏、EUとも1.7%で、いずれも前期の2.5%を下回った。

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今回のGDP速報値は、EU20カ国のデータに基づいて算出された。最大の経済国であるドイツの成長率は前期比0.1%。好調だった輸出の落ち込み、建設業の不調に加え、原子力発電所の閉鎖によってエネルギー生産が低下し、前期の1.3%から大幅に後退した。フランスは個人消費、輸出が低迷し、ゼロ成長に後退。このほか、オランダが0.1%、英国が0.2%と失速した。

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信用不安に直面している国では、スペインが0.2%増。伸び率は前期の0.3%を下回ったものの、プラス成長を確保した。イタリアは伸び率が0.1%から0.3%に拡大。EUと国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けている3カ国のうち、ポルトガルは、前期のマイナス0.6%からゼロ成長まで持ち直した。ギリシャ、アイルランドのデータはまとまっていない。

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独仏経済の失速は、ユーロ圏にとって大きな不安材料。財政赤国への金融支援で大きな役割を果たしているだけに、信用不安問題への影響も懸念される。市場では、ユーロ圏は下期にマイナス成長に転落するとの見方が出ている。

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