2011/8/22

産業・貿易

比の外国産蒸留酒への高率課税は不当、WTOパネルがEU・米支持の裁定

この記事の要約

フィリピンが外国産の蒸留酒に高率の酒税を課しているのは不当として、EUと米国が世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTO紛争処理小委員会(パネル)は15日、EUと米国の主張を認める裁定を下した。フィリピン側は裁定 […]

フィリピンが外国産の蒸留酒に高率の酒税を課しているのは不当として、EUと米国が世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTO紛争処理小委員会(パネル)は15日、EUと米国の主張を認める裁定を下した。フィリピン側は裁定を不服としてWTO上級委員会に上訴する方針を示している。

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フィリピンはサトウキビやココナツなどを原料とする国内産の蒸留酒に対する税率を低く抑える一方、主に欧米から輸入されるウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ジンなどに国内産の10-50倍の酒税を課している。欧州委員会によると、EU産の蒸留酒は高い税率によって同国での消費が落ち込み、EUからの輸出額は2004年の3,700 万ユーロから07年には1,800万ユーロに半減した。

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フィリピン政府は現行の酒税制度について、伝統的な手法で蒸留酒を作る先住民族の生活を保護するために必要な措置と説明しているが、EU側はウイスキーやブランデーなどの名称で販売される蒸留酒は原料にかかわらず、国内産にも同じ税率を適用すべきだと主張。2009年7月にWTOに提訴し、当事者間の協議が不調に終わったため同年12月にパネル設置を要請した。その後、米国がEUと同様の理由でWTOに提訴。4月に両案件を一括して審理するパネルが設置され、今回、最終報告をまとめた。

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欧州委のクランシー報道官は「パネル報告によってフィリピンの酒税制度がEU産蒸留酒の輸出を阻む差別的課税であることが確認された。長年にわたる対立関係の解消に向け、フィリピン政府が迅速に適切な措置を講じることを期待している」とコメントした。

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