2011/8/22

競争法

高級時計メーカーに対する調査開始、修理業者への部品供給制限にメス

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、複数の高級時計メーカーが結託して独立系の修理業者にスペア部品の供給を拒否した疑いがあるとして、競争法違反の調査を開始したと発表した。欧州委は当初、独立系の時計修理業者が加盟する団体CEAHRの苦情申 […]

欧州委員会はこのほど、複数の高級時計メーカーが結託して独立系の修理業者にスペア部品の供給を拒否した疑いがあるとして、競争法違反の調査を開始したと発表した。欧州委は当初、独立系の時計修理業者が加盟する団体CEAHRの苦情申し立てを却下したが、EUの一般裁判所(旧第一審裁判所)が欧州委の決定を無効とする判決を言い渡したのを受け、本格調査に乗り出した。

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欧州では伝統的に独立系の修理業者が複数ブランドの時計の修理や保守・点検を行ってきたが、CEAHRによると、2002年以降は複数の高級時計メーカーが自社ブランドを専門に扱う専属の修理業者のみに部品を供給する体制にシフトした。高級時計のほとんどの部品はメーカーから直接供給を受ける以外に調達ルートがないため、多くの独立系修理業者がアフターサービス市場から締め出される危機に直面している。

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CEAHRは04年、高級時計メーカーのこうした商慣行はEU競争法が禁止する市場支配的地位の乱用および競争制限的行為に当たるとして欧州委に苦情を申し立てたが、同委は調査が「共同体の利益につながらない」としてこれを却下した。しかし、一般裁判所は昨年12月、欧州委はCEAHRの申し立てを却下した理由を明確に示していないと指摘し、決定の無効化を言い渡していた。欧州委は調査対象となる時計メーカーの具体名を公表していないが、これまでにスイスのスウォッチが調査を受けたことを確認している。

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