2011/8/22

環境・通信・その他

エミレーツ航空がEUの排出規制批判、コスト「10年で10億ドル」

この記事の要約

EUが2012年1月からの導入を計画している航空業界に対する温室効果ガス排出規制をめぐり、アラブ首長国連邦のドバイを本拠とするエミレーツ航空は8日、EU排出量取引制度(EU-ETS)に組み入れられた場合の関連費用が向こう […]

EUが2012年1月からの導入を計画している航空業界に対する温室効果ガス排出規制をめぐり、アラブ首長国連邦のドバイを本拠とするエミレーツ航空は8日、EU排出量取引制度(EU-ETS)に組み入れられた場合の関連費用が向こう10年間で最大10億ドルに上るとの試算を明らかにした。同社経営陣は域外の航空会社に域内ルールを押し付けるEUのアプローチを批判し、国際間の合意に基づいて温効ガス排出削減を進めるべきだと訴えている。

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エミレーツは中東最大の航空会社で欧州事業が全体の4分の1を占めている。アンドリュー・パーカー上級副社長は同社の環境対策に関する説明会で、域内の空港を発着する航空会社にEU-ETSに基づく温効ガスの排出削減を義務づけるEUの新規制に言及。ほとんどの航空会社で実際の排出量が予め配分される排出枠を超えることはほぼ確実で、エミレーツでは排出量取引市場で超過分の排出枠を購入するための費用が「規制導入か8-10年間で5億-10億ドルに上る」と説明。「業績に深刻な影響が及ぶことになる」と警告した。

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同氏はそのうえで「世界中の航空会社と多くの国が域外企業にEUルールを押し付ける欧州委員会のやり方に強く反発している。これはEUのアプローチが航空機からの温効ガスを効率的に減らすための最善の方法ではないということだ」と強調。とくに排出枠の売却益がEU域内のインフラ整備などに充てられる点を問題視し、環境技術の研究・開発費として航空業界に還元するべきだとの考えを示した。

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航空業界をEU-ETSに組み入れる計画をめぐっては、域内ルールを一方的に域外の航空会社に適用するのは国際法に違反するとして米国や中国などがEUに対する反発を強めており、米航空輸送協会(ATA)は先月、EU司法裁判所に同措置の無効化を求めて提訴している。

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