2011/9/5

産業・貿易

パレスチナ農業製品への関税撤廃を承認

この記事の要約

欧州議会の国際貿易委員会は8月31日、パレスチナのヨルダン川西岸とガザ地区からEUに輸出される農産物、水産物に対する関税撤廃に関する協定を全会一致で承認した。同協定は9月26~29日に開かれる本会議での採決を経て、来年初 […]

欧州議会の国際貿易委員会は8月31日、パレスチナのヨルダン川西岸とガザ地区からEUに輸出される農産物、水産物に対する関税撤廃に関する協定を全会一致で承認した。同協定は9月26~29日に開かれる本会議での採決を経て、来年初頭に発効する見通し。

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関税撤廃の対象となるのは果実と野菜を除く全ての農業製品、農業加工品、水産物。果実と野菜についてはEU内の生産者を保護するため参入価格制度を導入し、この価格を下回る場合には関税が適用される。協定は10年間の期限付きだが延長される可能性があるほか、5年後には見直しを行う。

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EUは2005年に採択した「農業のための欧州地中海ロードマップ」に沿って、パレスチナとの交渉を開始した。すでにパレスチナとは暫定連合協定により工業製品に対してはEUの輸入関税を免除している。2009年のEUとパレスチナの貿易総額は5,660万ユーロにすぎず、このうち5,050万ユーロがEUからの輸出だった。EUのパレスチナからの輸入額のうち70.1%は果物、野菜、切花などの農業製品となっている。

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EUのアシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)は4月、パレスチナ自治政府のファイヤド首相と関税撤廃に関する協定に調印した。国際貿易委員会で報告者(ラポルトゥール)を務めたコッパ議員(ギリシャ)は、「パレスチナの将来は経済発展にかかっている。貿易は貧困の削減と政治的安定の確立を実現するひとつの手段だ」と協定の意義を強調した。

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