2011/9/12

総合 –EUウオッチャー

ギリシャ救済策は「合憲」、今後は議会の事前承認が必要=独憲法裁

この記事の要約

ドイツ連邦憲法裁判所は7日、同国によるギリシャへの金融支援や欧州金融安定基金(EFSF)への拠出がドイツ基本法に違反するとの訴えを棄却した。ただし、ユーロ圏諸国への金融支援に際して今後は「事前に連邦議会の承認を得なければ […]

ドイツ連邦憲法裁判所は7日、同国によるギリシャへの金融支援や欧州金融安定基金(EFSF)への拠出がドイツ基本法に違反するとの訴えを棄却した。ただし、ユーロ圏諸国への金融支援に際して今後は「事前に連邦議会の承認を得なければならない」とし、議会の権限強化が必要との見解を示した。すでに実施されているギリシャへの支援策が違憲とされ、市場に混乱が広がる事態は回避されたが、今後は議会の事前承認が必要とされたことで、ユーロ圏最大の支援国であるドイツで政府主導による意思決定に遅れが生じる可能性もある。

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今回の訴訟は一部の与党議員や学者らが原告となり、債務危機に陥ったユーロ圏諸国に対する支援プログラムへの参加は「加盟国間での債務引受を禁止したEU条約に抵触」し、「予算執行に関する議会権限を損ねる」などと主張していたもの。憲法裁は「原告の主張には十分な根拠がない」として訴えを退けたうえで、将来の支援策については「基本法に沿って十分に説明する義務がある」と強調。政府が議会の承認を得ずに、他のEU諸国との間で新たな支援策について合意する従来のアプローチは不適切との見解を示し、追加的な融資で必要な債務保証を行う際は「事前に連邦議会予算委員会の承認を得なければならない」と指摘した。

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独政府は決定済みのギリシャ支援策などが合憲とされたことを歓迎し、EFSF拡充に関する法案について議会の承認を得やすくなったとの認識を示している。ユーロ圏加盟国は債務危機国へのさらなる支援が必要になる事態に備え、7月の首脳会議でEFSFの規模と権限の拡充を決定。EFSFがユーロ圏の国債を流通市場で購入できるようにすることなどで合意した。独政府はこれを受けて8月末、EFSF拡充のための関連法案を閣議決定。新プログラムではドイツの分担金は従来の1,230億ユーロから2,110億ユーロに拡大することになる。連邦議会は今月29日にEFSF関連法案の採決を行う予定で、メルケル首脳は同法案の審議プロセスで議会により大きな権限を与えることを約束している。

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