2011/10/3

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏インフレ率が急上昇、利下げ観測遠のく

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが9月30日発表したユーロ圏の同月の消費者物価指数上昇率(インフレ率、速報値)は前年同月比3%となり、前月の2.5%から大幅に拡大した。上昇率は予想を上回る規模で、2008年10月以来、約3年ぶり […]

EU統計局ユーロスタットが9月30日発表したユーロ圏の同月の消費者物価指数上昇率(インフレ率、速報値)は前年同月比3%となり、前月の2.5%から大幅に拡大した。上昇率は予想を上回る規模で、2008年10月以来、約3年ぶりの高水準に達した。ユーロ圏が信用不安で景気後退に陥る懸念がくすぶる一方で物価上昇圧力が強まったことで、欧州中央銀行(ECB)は金融政策で難しい舵取りを迫られることになった。

\

ユーロスタットは10月中旬に物価統計の詳細を発表する予定で、現時点でインフレ率急上昇の理由を明らかにしていない。しかし、ドイツ連邦統計局が28日発表した同月のインフレ率(EU基準)が石油価格上昇や、衣料品・靴の秋冬物コレクション発売に伴う値上がりで大幅に上昇したことから予想されていた。ユーロスタットが今年初めに実施した統計基準変更で季節的品目の扱いが変わったというテクニカルな要因も影響したもようだ。それでも、上げ幅は予想を大きく上回る水準となった。

\

ユーロ圏のインフレ率は、ECBが上限目標値とする2%を超える状況が続いているものの、このところ上昇に歯止めがかかっていた。一方で、景気の先行き懸念が広がっていることから、ECBのトリシェ総裁は9月初め、利下げに転じることを示唆。市場では10月6日の定例政策理事会で政策金利が0.25%引き下げられると見る向きもあった。

\

ところが、今回のインフレ率上昇により状況が一変。ECBが少なくとも10月の利下げは見送り、景気下支えに量的緩和の拡大で対応するとの見方が広がっている。

\