2011/10/3

総合 –EUウオッチャー

ギリシャが不動産税導入を可決、追加融資実施へ弾み

この記事の要約

ギリシャ議会は9月27日、追加の財政赤字削減策として政府がまとめた不動産税新設法案を賛成多数で可決した。財政再建の努力をアピールした格好で、デフォルト(債務不履行)回避に必要なEUと国際通貨基金(IMF)による追加融資の […]

ギリシャ議会は9月27日、追加の財政赤字削減策として政府がまとめた不動産税新設法案を賛成多数で可決した。財政再建の努力をアピールした格好で、デフォルト(債務不履行)回避に必要なEUと国際通貨基金(IMF)による追加融資の実施へ弾みがついた。

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可決した法案は、不動産の面積に応じて税金を課すもの。徴収については、納税システムが機能していないことから、苦肉の策として電力会社に担当させる。納税を怠った場合は電力供給を停止する。国内総生産(GDP)の1%に相当する20億ユーロの増収効果を見込む。

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ギリシャは昨年5月、EUとIMFから3年間で総額1,100億ユーロの緊急協調融資を取り付け、これまでに5回にわたって融資が実行された。10月中旬に巨額の国債償還を控えるギリシャは、それまでに80億ユーロに上る第6弾融資が実施されなければデフォルトに陥る。しかし、同融資の前提となる財政再建が停滞していることから、EUとIMFの融資実行の可否に関する調査が9月初めに中止された。このため政府は11日、不動産税の導入を打ち出していた。EUとIMFは29日、融資実施に向けたギリシャとの協議を再開した。

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政府は不動産税導入のほか、年金支給額の削減、他の増税、公務員の人件費削減を柱とする追加緊縮策を決定。それらに対する議会の承認を早急に取り付け、国債償還期限までに追加融資を受けたい考えだ。

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EFSF融資枠、3兆ユーロに拡大?

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一方、EUがギリシャやポルトガルなどユーロ圏の財政悪化国に緊急金融支援を行う総額4,400億ユーロの「欧州金融安定基金(EFSF)」をめぐり、融資枠を大幅に拡大する案が浮上している。

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EFSFについては、EUは危機に陥った国の国債を流通市場で買い取ることができるようにするといった機能強化で合意済みだが、信用不安がさらに広がった場合に備えて融資枠の拡大を求める声も強まっている。欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)は先ごろ、独紙とのインタビューで「EFSFに大きなレバレッジを与える可能性を検討している」と述べ、融資枠拡大に向けた調整を行っていることを確認。欧州の主要メディアでは26日、融資枠が最大2~3兆ユーロに引き上げられるとの観測が駆けめぐった。

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これに対して、以前から融資枠拡大に反対しているドイツのショイブレ財務相は、改めて拒否を表明しており、EFSF再編が話し合われる10月のEU首脳会議での協議が紛糾する可能性が出てきた。

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