2011/10/17

総合 –EUウオッチャー

スロバキア議会、EFSF拡充を承認

この記事の要約

スロバキア議会は13日、ギリシャなどユーロ圏の財政危機国を救済する欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充の是非を問う2回目の採決を行い、賛成多数で承認した。11日の1回目の採決で棄権した最大野党「スメル(道標)」が賛成に […]

スロバキア議会は13日、ギリシャなどユーロ圏の財政危機国を救済する欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充の是非を問う2回目の採決を行い、賛成多数で承認した。11日の1回目の採決で棄権した最大野党「スメル(道標)」が賛成に回った。これにより、ユーロ加盟17カ国の承認が出揃い、欧州の債務危機対策は一歩前進する格好となった。

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EFSFの拡充案には、実質融資枠を現在の2,500億ユーロから4,400億ユーロに拡大することや、債券市場への介入権限強化、資本増強が必要な金融機関への直接支援などが盛り込まれている。

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スロバキアでは、ユーロ参加国の中でエストニアに次いで貧しい同国が、ギリシャなどより豊かな国の救済に参加を強いられることへの反発が根強く、EFSFの拡充にはラディツォバー首相率いる中道右派の連立4党の一翼を担う「自由と連帯」が強く反対。1回目の採決で棄権したため、与党は過半数を維持出来ず、拡充案は否決された。また、同案の採決と抱き合わせで行われた内閣信任案も否決され、ラディツォバー内閣は退陣に追い込まれた。その後、残る連立3党は来年3月に総選挙を前倒し実施することなどを条件に、スメルのフィツォ党首からEFSF拡充への賛成を取り付け、2回目の採決でようやく承認にこぎつけた。

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ラディツォバー首相は採決の結果を受け、議会が「非常に責任ある決定」を下したことに感謝の意を示し、拡充案の承認は「欧州の債務危機を食い止めるステップだ。我々はユーロ圏の一員であることを今日確認した」と述べた。EFSFの拡充により、スロバキアの負担は、同国のGDPの約1割に相当する77億ユーロとなる。

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EFSFの拡充をめぐるスロバキアの混乱について、コメルツバンクの新興市場調査部のガンスケ部長は、「17カ国によって意思決定が行わるということは、スロバキアのような小国がトラブルの種になるということを示している」と述べ、危機対応でユーロ加盟国の足並みを揃えることの難しさを指摘する。また、同じくコメルツバンクのアナリスト、カーポヴィッツ氏は、「スロバキアの承認はEFSFの機能拡充への道を開くものではあるが、問題の解決には程遠い。イタリアやスペインに危機が波及した場合、EFSFの資金が増強されても支援し切れない」と述べ、欧州債務危機の終息には一層の対策強化が必要であるとの見方を示した。

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