2011/11/7

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が0.25%利下げ、景気重視で予想外の決定

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は3日の定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を0.25ポイント引き下げ、年1.25%にすることを決めた。ユーロ圏の景気減速懸念に応じたもので、2009年5月以来、2年6カ月ぶ […]

欧州中央銀行(ECB)は3日の定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を0.25ポイント引き下げ、年1.25%にすることを決めた。ユーロ圏の景気減速懸念に応じたもので、2009年5月以来、2年6カ月ぶりの利下げとなる。

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ECBでは11月1日にトリシェ前総裁に代わってマリオ・ドラギ総裁が就任したばかり。新総裁は主催する初の政策理事会で利下げに踏み切ったことになる。

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ユーロ圏ではインフレ率が許容水準を大幅に超えている。しかし、信用不安の影響などで景気の下振れリスクが高まっていることから、ECBは景気を優先して予想外の利下げを決めた。

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ユーロ圏では今年に入って、原油価格の高騰を背景にインフレ率が急上昇したことから、ECBは4、7月に各0.25%の利上げを実施した。しかし、その後に世界経済の減速やユーロ圏の信用不安によって景気見通しが悪化。ユーロ圏の4-6月期の成長率は前期比0.2%と、前期の0.8%から急減した。このため、トリシェ前総裁は9月の理事会後の記者会見で、物価安定から景気対策に重点を移し、利下げに転じる方針を示唆していた。

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ただ、高止まりしていたユーロ圏のインフレ率が9月になって急上昇し、ECBが上限目標値とする2%を大きく上回る3%に達したことから、市場では利下げを当面見送るとの見方が広がっていた。このため、今回の利下げは予想外だった。

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ドラギ総裁が理事会後の記者会見で明らかにしたところによると、利下げは理事会の全会一致で決定。同総裁は利下げについて、景気の不透明感が「高いレベル」にあり、「下振れリスクが高まっている」と説明した。景気悪化によって中期的には物価上昇圧力が弱まるとの判断も働いたもようだ。

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一方、ドラギ総裁は、ECBが信用不安対策として実施しているユーロ圏の財政悪化国の国債を流通市場で買い入れる措置について、「(ECBの)介入によって国債利回りが抑制される状態がいつまでも続くと考えてもらっては困る」と述べ、あくまでも異例の一時的な措置であることを強調した。

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