2011/11/14

総合 –EUウオッチャー

仏が追加赤字削減策発表、企業税・VAT引き上げなど

この記事の要約

フランスのフィヨン首相は7日、企業税や付加価値税(VAT)の引き上げを柱とする追加的な財政赤字削減策を発表した。仏政府は8月に110億ユーロの財政赤字削減策を発表しているが、ユーロ圏債務危機がギリシャからイタリアに及び、 […]

フランスのフィヨン首相は7日、企業税や付加価値税(VAT)の引き上げを柱とする追加的な財政赤字削減策を発表した。仏政府は8月に110億ユーロの財政赤字削減策を発表しているが、ユーロ圏債務危機がギリシャからイタリアに及び、フランスへの波及が懸念されるなか、2012年予算に70億ユーロの新たな削減策を盛り込む。

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フランスでは2010年の財政赤字が国内総生産(GDP)比7%まで拡大。政府は財政赤字を11年にGDP比5.7%、12年に同4.5%、13年に同3.0%まで引き下げる目標を掲げ、主に企業や富裕層の負担増を通じて税収を拡大する一方、年金や医療保険制度の見直しを進めて歳出削減を図る方針を打ち出している。しかし、当初は1.75%と予測していた12年の成長率を1%に下方修正したことで、財政赤字削減目標を達成するために追加的措置が必要となった。

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フィヨン首相は過去30年にわたる財政赤字体質を抜本的に改める必要があるとして、「16年までに財政均衡を目指す」と表明。財政赤字削減目標の達成に向けて12年は70億ユーロ、13年には116億ユーロの緊縮策を実施し、16年までの5年間に総額650億ユーロの赤字削減を実現する方針を打ち出した。追加措置には◇飲食店などに適用しているVATの最低税率を5.5%から7%に引き上げる◇売上高2億5,000万ユーロを超える企業を対象に、12年と13年に5%の特別税を課す◇年金の受給開始年齢を60歳から62歳に引き上げる計画を1年前倒しして、17年から実施する◇配当および利子所得に対する課税率を19%から24%に引き上げる――などが盛り込まれている。

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首相は「欧州の多くの国が陥った危機からフランスを守る」ために抜本的な対策が必要と強調。「デフォルト(債務不履行)はもはや抽象的なことばではない」と述べ、国民に対して財政健全化の取り組みに理解を求めた。

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