2011/11/21

総合 –EUウオッチャー

貧困層への食糧支援、14年まで延長

この記事の要約

EU加盟国は14日、域内の貧困層に対する食料支援制度を2014年まで延長することで合意した。約1,800万人の貧困層を対象とする食料支援に、12年と13年にそれぞれ5億ユーロを支出する。\ EUは1987年に余剰農作物を […]

EU加盟国は14日、域内の貧困層に対する食料支援制度を2014年まで延長することで合意した。約1,800万人の貧困層を対象とする食料支援に、12年と13年にそれぞれ5億ユーロを支出する。

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EUは1987年に余剰農作物を中心とする食料備蓄を貧困層向けに供給する制度を導入した。しかし90年代に実施された共通農業政策(CAP)改革の結果、余剰作物の備蓄水準が大幅に減少したため、現在はEU予算と加盟国の拠出金を使って市場で食料を調達し、支援を行なっている。この食料支援制度をめぐっては、人道的な継続を訴えるフランスと、余剰作物の有効活用という本来の趣旨から逸脱しているとして廃止を主張するドイツや英国など6カ国の間で意見の対立が続いていたが、最終的にフランスが14年に同制度の廃止を受け入れるのと引き換えに、ドイツなどが制度の延長を認めるという妥協が成立した。

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欧州委員会のチョロス委員(農業・農村開発担当)は合意を受けて声明を発表し、「困窮している人に対する支援を阻む問題を加盟国が解決したことを非常に嬉しく思う。欧州委は今後もこのスキームに関わる慈善団体のパートナーであり続けることを願っている」とコメントした。

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欧州委によると、EU域内で慈善団体が行なっている食料支援のうち半分が、EUの制度によって賄われている。

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