2011/11/28

産業・貿易

米バイオ燃料がダンピングか、欧州委が調査に着手

この記事の要約

欧州委員会は25日、米国から輸入されるバイオエタノールについて、反補助金および反ダンピング措置の発動に向けた調査を開始したことを明らかにした。米国のエタノール生産者が政府から不当な補助金を受けて安値で製品を輸出し、域内メ […]

欧州委員会は25日、米国から輸入されるバイオエタノールについて、反補助金および反ダンピング措置の発動に向けた調査を開始したことを明らかにした。米国のエタノール生産者が政府から不当な補助金を受けて安値で製品を輸出し、域内メーカーに深刻な打撃を与えているとの欧州業界団体の申し立てを受けたもの。欧州委は来年8月までに暫定的な調査結果をまとめ、ダンピングの事実が確認された場合は米国からの輸入品に制裁関税を課す。

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欧州委に申し立てを行ったのは、独クロップエナジーズやスペインのアベンゴアなど、EU内のバイオエタノール生産者の約8割が加盟する業界団体「欧州再生可能エタノール協会(ePURE)」。同協会は10月、米国産バイオエタノールの「大量かつ突然」の輸入が域内のバイオエタノール産業に悪影響を与えているとして、欧州委に調査開始を要請した。ePUREは米政府がバイオ燃料の利用を促進するため導入しているバイオエタノール生産者への税制優遇措置は不当な公的補助に当たり、これを後ろ盾に安値で輸出される米国産のエタノール混合ガソリンが域内メーカーを圧迫していると主張している。

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欧州委のクランシー報道官は「米国産バイオエタノールの輸入が欧州のバイオエタノール産業に悪影響を及ぼしているかどうかを確かめるため、本日付で反補助金および反ダンピングの調査を開始した。2012年8月24日までに暫定的な調査結果をまとめる予定だ」と述べた。

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欧州では2010年に約50億リットルのバイオエタノールが使用され、このうち12%が米国とブラジルからの輸入だった。ePUREによると、EUに輸出された米国産エタノールは08-10年におよそ6倍に拡大しており、今年は昨年の2倍に達するとみられている。

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なお、EUは米国産のバイオディーゼルについて、米政府の補助金制度が域内メーカーに多大な損害を与えているとして、09年3月から1トン当たり最大400ユーロの相殺関税を課している。

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