2011/12/5

産業・貿易

消費者紛争をオンラインで解決、欧州委が新制度提案

この記事の要約

欧州委員会は11月29日、消費者と事業者の間に生じた紛争を解決するためのオンラインプラットホームを創設する方針を明らかにした。電子商取引の普及などで消費者と事業者との間のトラブルが増加していることを受け、紛争の簡易・迅速 […]

欧州委員会は11月29日、消費者と事業者の間に生じた紛争を解決するためのオンラインプラットホームを創設する方針を明らかにした。電子商取引の普及などで消費者と事業者との間のトラブルが増加していることを受け、紛争の簡易・迅速な解決を図るのが狙い。

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欧州委によると、EUでは2010年に消費者の5人に1人がモノやサービスの購入をめぐるトラブルに遭っている。消費者と事業者との間には情報量や交渉力に差があるうえ、消費者紛争の被害額は比較的少額であることが多く、消費者が泣き寝入りせざるを得ないことが多い。このため、裁判によらない紛争解決手続きの整備を要請する声が挙がっていた。

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欧州委が今回提案した「オンラインによる紛争解決に関する規則」は、商取引契約に関する紛争を取り扱うEU共通のオンラインプラットホームを設置し、30日以内に紛争を解決することなどを内容としている。同委の試算によると、裁判外紛争解決手続きの普及によって年間225億ユーロの消費者負担の軽減につながるという。欧州議会とEU加盟国の承認を経て、2015年からのシステム稼働を目指す。

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欧州委のダリ委員(保健・消費者保護担当)は、「消費者が事業者との紛争を解決する効果的な手段を持たないことで、多くの消費者トラブルが未解決となっている現状は受け入れがたい。法案が成立すれば、消費者は容易で迅速かつ少ない金銭負担で問題を解決することが可能になる」とコメントした。

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