2011/12/5

環境・通信・その他

コンピュータープログラムの著作権、機能性・言語は保護されず=欧州裁

この記事の要約

EU司法裁判所の法務官は11月29日、コンピュータープログラムの機能性やプログラミング言語には著作権の効力が及ばないため、制作者の許可なく利用しても著作権侵害にはあたらないとの見解を明らかにした。法務官の判断は法的拘束力 […]

EU司法裁判所の法務官は11月29日、コンピュータープログラムの機能性やプログラミング言語には著作権の効力が及ばないため、制作者の許可なく利用しても著作権侵害にはあたらないとの見解を明らかにした。法務官の判断は法的拘束力を持たないが、著作権ルールに違反することなく、ソフトウエア会社がライバル企業のプログラミング言語などを利用して製品開発を進める際の判断基準を示したものとして注目される。

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今回の法務官見解は、企業の経営課題を解決するためのソリューション開発を手掛ける米SASインスティテュートが、同業の英ワールド・プログラミング・リミテッド(WPL)に著作権を侵害されたとして、2009年に英国で提起した訴訟に対するもの。SASは同社のプログラミング言語を利用して、独自のプログラムを作成したWPLの行為は著作権侵害にあたると主張。英高等法院が欧州裁に対して、コンピュータープログラムに係る著作権の保護範囲について判断を求めていた。

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欧州裁のイブ・ボット法務官は意見書で、コンピュータープログラムには著作物性が認められるが、「プログラムの機能性やプログラミング言語は著作権で保護されない」と明言。プログラムの機能性を「具体的に表現するための手段」には制作者の「知的創造性」が反映される余地があり、その場合は著作権の効力が及ぶ可能性があるものの、「プログラムの機能性が著作権によって保護されるとの主張を認めた場合、アイデアの独占を許すことになり、技術の進歩や業界の発展を妨げることになる」と指摘。法務官はさらに、ソフトウエア企業は競合製品との互換性を示すため、一定の条件を満たせばライバル企業の許諾を得ずにソースコードを複製または変換することができるとの考えを示した。

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