2011/12/19

環境・通信・その他

温効ガス削減のロードマップ策定、再可エネ利用促進に軸足

この記事の要約

欧州委員会は15日、2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で80~95%削減するという目標を達成するためのエネルギー供給のあり方をまとめた「エネルギー・ロードマップ 2050」を公表した。最適なエネルギーの組み […]

欧州委員会は15日、2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で80~95%削減するという目標を達成するためのエネルギー供給のあり方をまとめた「エネルギー・ロードマップ 2050」を公表した。最適なエネルギーの組み合わせを選択することで、域内産業の競争力を損なうことなくエネルギーの安定供給を図ることができるとし、特に風力、太陽光など再生可能エネルギーの利用促進に向けて技術開発を進め、EUレベルで規制や投資環境を整備する必要があると指摘している。

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欧州委は今年3月、EUが50年までに競争力のある低炭素社会に転換するには90年比で少なくとも80%の排出削減が不可欠とし、目標達成に向けて20年時点で90年比25%、30年時点で同40%、40年時点で同60%の削減を実現する必要があるとの行程表をまとめた。今回のロードマップは中長期の削減目標を実現するためのエネルギーミックスと政策の枠組みを探るため、さまざまなシナリオを想定してエネルギーおよび電力消費全体に占める主なエネルギー源の利用比率がどのように変化するかを分析している。

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欧州委は将来のシナリオとして、エネルギー効率の著しい向上、エネルギー源の多様化、高度な再生可能エネルギー源の実現、二酸化炭素分離・回収・貯留(CCS)技術の実用化の遅れ、原子力エネルギーの大幅な供給減少――の5通りを想定。EUが将来の中核エネルギーと位置付ける再生可能エネルギーは、いずれのシナリオでもエネルギー消費に占める割合が50年時点で55%を超えると試算。どのエネルギーミックスを選択するかにかかわらず、エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの利用比率を引き上げることが目標達成に向けて不可欠と結論づけている。

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コスト面に関しては、できるだけ早い段階でエネルギーの脱炭素化を進めることが長期的にはコストの抑制につながるとし、30年までに必要なインフラへの投資はいますぐに決定しなければならないと強調している。投資拡大に伴い電力価格は当面上昇するものの、30年以降は供給コストの低下や技術改良などによって下落の可能性があり、雇用面や輸入依存度の低減などのメリットも見込めると分析。投資効果を最大化するため、域内市場の統合を一段と進め、国境を越えたエネルギー供給網の相互連結や次世代送電網(スマートグリッド)の整備を加速させる必要があると指摘している。

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