2011/12/19

環境・通信・その他

旅客情報提供に関する対米協定、内相理で承認

この記事の要約

EU加盟国は13日開いた内相理事会で、EU域内から米国に向かう旅客情報の提供に関する新協定を承認した。EUから提供された旅客の氏名や連絡先などのデータを提供から6カ月後にすべて匿名化し、7年が経過した時点で特別な手続きを […]

EU加盟国は13日開いた内相理事会で、EU域内から米国に向かう旅客情報の提供に関する新協定を承認した。EUから提供された旅客の氏名や連絡先などのデータを提供から6カ月後にすべて匿名化し、7年が経過した時点で特別な手続きを踏まなければアクセスできない「休眠(dormant)」データベースに移すことなど米当局に求める内容で、従来の協定に比べて乗客のプライバシー保護に重点が置かれている。欧州議会の承認を経て発効する。

\

米国は2001年9月の同時多発テロ以降、国内を離発着する航空会社に旅客情報の提供を義務づけており、EUも米側の求めに応じて04年5月、域内から米国に向かう旅客機の乗客について氏名、住所、座席番号、クレジットカード番号、飛行ルートなどの情報を米当局に報告することを航空会社に義務付ける協定を結んだ。しかし、欧州議会は同協定がEUのデータ保護指令に違反するとして欧州司法裁判所に提訴。司法裁は06年5月、欧州議会の主張を認めて協定を無効とする判決を言い渡し、欧州委員会と米政府の間で協定の見直しに向けた協議が続いていた。

\

新協定によると、米国土安全保障省(DHS)は航空会社から提供された旅客情報をEUの捜査および司法当局と共有しなければならず、テロ犯罪および3年以上の禁錮刑が適用される重大な越境犯罪(人身売買や麻薬取引など)に関連した捜査や訴追以外の目的で旅客情報を利用することはできない。07年7月に締結された暫定的な協定では休眠データとなるまでの期間が情報提供から7年となっているが、新協定では5年に短縮される。また、テロ犯罪に関連した個人情報のデータ保持期間は最大15年で据え置かれるが、それ以外の越境犯罪についてはデータ保持期間の上限が10年に短縮される。このほか新協定は乗客がDHSに提供された個人情報にアクセスして訂正・削除したり、個人情報が不正に利用された場合に米国の法律に基づいて法的救済を受ける権利などを保障している。

\