2011/12/27

総合 –EUウオッチャー

ECBが過去最高の4900億ユーロ供給、初の3年物資金入札で

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)が21日実施した3年物資金の供給オペ(公開市場操作)にユーロ圏の523銀行が応札した。応札の総額は4,892億ユーロで、ECBは全額を供給する。ECBによる1回のオペでの供給としては過去最高額となる […]

欧州中央銀行(ECB)が21日実施した3年物資金の供給オペ(公開市場操作)にユーロ圏の523銀行が応札した。応札の総額は4,892億ユーロで、ECBは全額を供給する。ECBによる1回のオペでの供給としては過去最高額となる。

\

ECBによる期間3年の資金供給は初めて。ECBは8日の定例政策理事会で、信用不安によって資金繰りが悪化している圏内の銀行を支えるため、最重要政策金利を0.25ポイント引き下げて年1.0%にすると同時に、これまで期間13カ月が最長だった資金供給で、3年物資金を無制限に供給することを決定していた。

\

今回の資金供給額は、過去最高だった2009年6月の4,420億ユーロ(1年物)を上回る。ユーロ圏の域内総生産(GDP)の約5%に相当する規模だ。圏内の銀行の資金需要がひっ迫していることを改めて浮き彫りとした格好だ。

\

ユーロ圏ではECBに対して、信用不安対策としてイタリアなど財政危機国の国債の購入を拡大するよう求める動きが強まっているが、これまでのところドラギ総裁は応じない方針を示している。3年物資金の無制限供給によって、資金繰りが改善した銀行が、手控えていた国債購入を再開するとの期待がある。

\

しかし、市場では、銀行は今回の資金供給で目先の資金需要は満たされたものの、長期的な資金不足の懸念は解消されていないとの見方で一致している。英大手銀行ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、供給された資金の60%は借り換えに回され、新たに生じる流動性は2,000億ユーロ程度にとどまると推定。しかも資金を手元に置く銀行が多いと目されることから、国債購入効果は薄いと分析している。

\